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2006年7月

2006.07.30

福岡オリンピックに反対--福岡市の実質公債費比率は悪いほうから4番目

福岡市の実質公債費比率(借金比率)は21.9%。
政令指定市では4番目に高い。
と発表された。

朝日新聞7月29日付朝刊によると

市債残高が総額約2億7千億円(04年度決算)、15政令指定市のうち5番目に多い。借金の要因の一つが95年開催のユニバーシアード大会。施設整備で、前年度の市債発行額(一般会計)は2年前の2.3倍に急増した。

ここに一つの前例があったことがわかる。
ユニバーシアードを開催したから、市の借金が増えたのだ。
オリンピックを開催すれば、また同じことが起きるだろう。

「ユニバーシアードとオリンピックは違う。オリンピックならこうはならない」と言える根拠はあるだろうか?

オリンピックのほうが大規模で、入場者が多い。
しかし、大規模な分、かかる費用が大きい。

ユニバーシアードだって、大会運営は「黒字」と公表された。
なのに借金が急増したのである。運営黒字とは、施設建設費などが勘定に入らないからだ。
オリンピックでも同じだ。大会運営は黒字になるかもしれない。しかし、建設費、招致費用などを総合すれば、やはり「市の借金増大」になる可能性大である。

民間の資金を活用すれば大丈夫?

それも福岡市は前例がある。人工島は民間がやるから税金投入はしないという話だった。しかし思うように事業が進まず、市は○○○億円単位の税金を使うことに。博多リバレインも同じような例である。

オリンピックをやれば人が大勢福岡に来る? 税収も増える?

これも、「ある前例」を思い浮かべる。
地下鉄七隈線が開通。乗客数は見込みの半分以下。
博多リバレイン(スーパーブランドシティ)の売り上げは目標よりずっと少なかった。

福岡市の「見込み」のアテにならないことは、厚生省の「出生率が上向く予想」といい勝負なのだ(福岡市のほうがひどさの点では上だと思う。都心部を離れた地下鉄の乗車率が9割以上と見込みを立てるくらいだから。そんなの無理って素人でもわかるんだが)。

とにかく福岡市には「マイナスの前例」だらけ。

歴史をひもとくと、おおよそ福岡の政治家は金の運用が下手らしい。
明治維新の頃、福岡藩はニセ藩札事件を起こし、藩主は全国の知藩事(大名が任命された)で唯一罷免された。
博多商人はやり手が多かっただろうに、政治家はどうも金使いがダメだ。

うまいことやった事業って、何があるのだろう?
倭国の金印(紀元57年)くらいかな。後漢の皇帝から金印をもらうとは、当時としては大変な事業だったと思う。
しかし、これとて、倭国(奴国?)の都城がどこだかわからない状態で、志賀島の土中に金印が埋まっていたから、「花火を打ち上げたけど、国は傾いてしまった」のかもしれないよ。
金印ならば2000年後も貴重な史料になるけれども、「オリンピックで財政破綻」じゃあねえ。歴史にも残りゃしない。

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2006.07.29

福岡オリンピックに反対--NHK番組(続)

しかしながら、番組全体として、「福岡オリンピック招致、良いね!」という印象づけになったかというと、幸か不幸か、そうはならなかったと思う。

司会者が「説明がちゃんとされれば賛成されるのでは」と誘導したにもかかわらず。
玉木氏の福岡支持があったにもかかわらず。
「福岡で五輪をやることの意義」--招致推進主体者である2人(副市長と招致推進委員会会長)は、これを説得力持って言えなかった。

会長が「天神を開発したがっている」ことはよくわかった(笑)。
また、ユニバーシアードのために作った博多の森球技場を、「不便だから客が少ない。五輪メインスタジアムをアビスパ福岡の本拠地にすれば客が来る」と、福岡市のイベント事業の計画性のなさ、スポーツ振興を長期的に考えてなんかいないことがわかる発言もあった。

※ユニバーシアードは1995年開催。たった10年前に作った施設(それも少額でできたものでない)をすでに活用放棄を考えちゃうとはね。

そうしたことが視聴者にある程度わかったであろうという点では、この番組は意義はあった。

あー、もしかしたら、推進の主体者が福岡五輪の意義を語れてないものだから、司会者が「ちゃんと説明すれば賛成されるんでは」と助け船出したのかな?
(でも、それはいかんと思うよ>岡野さん)

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福岡オリンピックに反対--NHK番組への疑問

28日夜、NHK総合テレビ(福岡ローカル)で「九州沖縄スペシャル--討論・福岡市五輪招致」の放映を見た。九州と沖縄のみのローカル番組である。

福岡市のオリンピック招致を、賛成・反対・その他の立場の人が討論。
出演者は
江頭・福岡市副市長
鎌田・招致推進委員会会長
玉木正之氏(スポーツライター)
神野直彦氏(東大教授・財政問題に詳しい)
脇 義重氏(「いらんばい!福岡オリンピック」の会)
司会:岡野アナウンサー

大雑把に言うと(敬称略)
招致当事者・賛成派=3人(江頭・鎌田・玉木)
招致反対派=1人(脇)
賛否は言わないが招致に疑問=1人(神野)
賛成寄り=1人(司会者)←(これについては後述)

であった

番組制作者(NHK福岡)は、賛成・反対、双方の意見を紹介し、中立の立場で進めたつもりなのかもしれない。
しかし、実際はフェアでない内容だったと私は思う。
出演者の構成でも明らかだ。否定的な神野氏と賛成寄りの司会者(*)を除くと、賛成:反対=3:1だし。

*「賛成寄りの司会者」と書いたのは、次のような流れがあったからだ。

・福岡市は市民への説明が足りない、という話が出る。
(市民の多くが財政に懸念を持っているアンケート結果を紹介)
・玉木氏「ハードでなく、ソフト面の策が大事だ」
・シドニーオリンピックを契機に、オーストラリアが国を挙げてスポーツに親しむムーブメントを起こし、その結果一般市民の健康が増進して医療や福祉の費用が軽減した例をビデオで紹介。
・司会者「こうした説明をされれば、脇さん(反対者)も賛成するのではないですか?」

ちょ、ちょっと待った!!

市が説明をちゃんとすべきなのはその通り。説明不足や招致運動の経緯の不透明さなどはたいへん問題である。
しかし、だからといって
「説明がちゃんとされれば賛成するでしょ?」
という話に、なんでスンナリつながるのか。

番組では、招致に名乗りを上げたが、市民の意見を聞いて立候補をやめた札幌市の話も出していた。札幌市は財政状況、五輪開催のメリット・デメリットなど、福岡市より丁寧に説明し、その結果、市民の意見は反対が賛成を上回ったのである。

「説明すれば市民は賛成する」とは限らないのだ。
※ついでに言うと、札幌市より福岡市のほうが市民一人あたりの借金が多く、財政状況が悪いことは客観的なデータが明らかにしている。

そもそもオリンピック開催、招致は良いのかどうか、を問題にしているはずの番組で、「説明が足りない・説明の仕方が良くない」ことに問題を焦点化し、「招致は良いことだ」があたかも前提のようになってしまった。
司会者は意識的か無意識なのかはともかく、賛成に誘導したのである。

このような番組の流れには非常に疑問を感じた。

「説明すれば賛成してくれる」とは、福岡市長の言い分そのままだ。
ジャーナリズムが行政側(推進側)の広報の役割になってしまってはいけない。それではなんのための公共放送だ、と思うのである。

****

NHKは市民に賛否を尋ねる世論調査をしていないようだ(番組では出てこなかった)。地元民放TV局2社の調査では、いずれも66〜67%が反対、という結果がある。反対が賛成の少なくとも2倍あるのだ。
今からでもNHKは世論調査をしてほしいものだ。番組への意見も募集していたし、大雑把に賛成意見・反対意見はどれくらいの割合か、公表してほしい。

***
本日の意見の一部をNHK公式サイトに送った。

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2006.07.19

博多祇園山笠--追い山 (1)

15日の追い山追っかけ記。

Oiyama512_1午前5時前、まだ暗いうちに、1番山の恵比須流が東長寺に奉納。
承天寺にも奉納する。

「神事」の山笠なれど、由来を考えればお寺との関わりが深い。

鎌倉時代、承天寺の開祖・聖一国師は疫病退散を祈って施餓鬼棚に乗り、水を振り撒いて町中を回った。これが山笠の由来と言われている。

江戸時代には櫛田神社の管理は東長寺の住職がおこなっていた(櫛田神社に宮司はいなかった)。東長寺は櫛田神社の大家さんだったわけだ。

※住職の宮司兼職は割合多かった。香椎宮もそう。明治政府の「神仏分離令」によって神社と寺の力関係が逆転したようである。この時廃せられた寺や破壊遺棄された仏像も数多い。私たちが今見ている神事・祭りは、百数十年前まではもっと仏教色が強かったのかもしれない。

夜が明け、空が徐々に明るくなる。
寺が並ぶ細い通りを行く。
山笠はこの時間帯が一番いいと思う。

Oiyama519

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2006.07.15

博多祇園山笠--流舁き

14日:流舁き。
恵比須流に足を運んでみた。

恵比須流は旧来の博多の一番東側にある、御笠川(石堂川)沿いの町筋。
江戸時代は石堂流と言ったらしい。
流は幾多の変遷を経て現在に至っている。
Ebisu_n487


石堂橋
現在はあまたある石堂川の橋の一つ、それも小さな橋にすぎないが、江戸時代には博多から東に行くメインの通りだった。
恵比須流はこの橋のたもとまで山を舁き廻る。
Ebisu_n484


都市高速入口の下、山笠のレリーフ
Ebisu_n498


流舁きを終えて、一息つく各町の人たち。
ビル街や都市高速に挟まれながらも、そこここに残る路地。
ついつい吸い寄せられて歩きたくなる場所である。
Ebisu_n503

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2006.07.14

博多祇園山笠--子どもたち

子ども山笠(千代流)
ゆめタウン博多に展示
子ども山笠を行うのは千代小学校と
博多小学校
Kodomo465

千代流の子どもたち、走る
Chiyo472

キューピーちゃんも
Kodomo479

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2006.07.13

博多祇園山笠

集団山見せ。
オリンピック招致関係者も“台上がり”。

土居流
Doi466

 

博多から福岡へ(千代流)
博多祇園山笠は博多の祭り。
この日だけ、那珂川を渡って福岡の町に入る。

Chiyo474

 

今年のイケメン(天草四郎時貞:東流)
マントもかっこいい。
このポーズ、神武天皇にも使える。
(鳩の代わりに八咫烏=やたがらす)

Higasi475

 

飾り山(上川端通)
炎が本当に熱そう。

Kawabata481

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福岡オリンピック構想を検証する

「2016 FUKUOKA KYUSHU オリンピック・パラリンピックを福岡・九州へ」
のサイトより引用する。

未来の大コンベンション拠点として博多湾を水上都市に再編する

メインクラスターとしての須崎ふ頭でのオリンピック施設の建設は、市街地を海に向かって開くことになるでしょう。それを大コンベンション施設として活用すれば、今全世界に求められている数万人規模の集会、会議等の催事が可能になります。そのとき、〈海〉が構想を展開する鍵になるでしょう。

http://www.2016fukuoka.jp/plan/21.html


問題点1・なぜ須崎埠頭の開発が必要なのか?

「なぜ須崎埠頭か」の理由は上記サイトではまったくわからない。

「福岡・九州オリンピック・パラリンピック招致をご理解いただくためのQ&A」

天神地区に隣接していることから商業・業務・居住地域として潜在価値が高いと考えられています。

とあるだけ。

天神の隣だから、マンション売れる、オフィス需要がある、商業施設もうまくいく。須崎埠頭に作った選手村や特設パビリオンをマンションやオフィスビルにして分譲・賃貸できてめでたしめでたし、と。

そのために、4,000億円近い金を使って、現在の須崎埠頭の施設・倉庫・事務所を立ち退かせ、再開発する、と。

はー、なるほど。

しかし…
「天神の隣だからマンション売れるし…」が、どうして
「大コンベンション施設として活用すれば、今全世界に求められている数万人規模の集会、会議等の催事が可能になります。」につながるのだ??
マンションや一般オフィス、商業施設は大コンベンション施設に活用できないではないか。

須崎埠頭の開発は、オリンピックのコンセプトとは無関係。未来の大コンベンション拠点云々と整合性がない。


問題点2・オリンピック後の活用はニーズがあるか?

須崎埠頭には選手村の他にメイン競技場等を造る予定。
だが、今すでにヤフードームやマリンメッセといった大きな施設がある。こちらと「数万人規模の集会、会議等の催事」が競合する。

マリンメッセは福岡市の外郭団体(財団)の運営である。須崎埠頭の施設が使われてマリンメッセに閑古鳥が鳴くようでは、また市が税金投入するハメになる。
ドームは民間企業の運営だから経営状態が悪くなっても知らんこっちゃない? (それは酷いよ。ダイエーの故・中内功氏が造ってくれたドーム。おかげで福岡にプロ野球球団が復活し、市も恩恵にあずかっているのに)

競技場をアビスパ福岡のホームスタジアムにする話もあるが、それでは博多の森競技場はどうなる。こっちだって大金かけて造った施設だ(ユニバーシアードのために)。

福岡の都市規模で、さらに大きな競技場やイベント用施設を造るのは余計な負債を増やすだけだ。

新施設を活用できるよう、ビッグな催事をしょっちゅう招致する? いったいどんな予定やニーズがあるというのだろう。

「オリンピックを開催すれば世界に知名度が上がり、ビッグな催事も多くなって市の財政が潤う」とは、どんな根拠があるのか。

知名度が上がるといっても、東京や京都などの有名都市の後に、「まるで知名度がなかった福岡がちょっと知られるようになる」程度だろう。長野みたいに。
ちょっと知られるようになったくらいで、ビッグな催事(それも財政や市民が潤うような)が目白押しで開催されるというのだろうか。
長野市・長野県は、オリンピック後にビッグな催事が増えて財政が潤うなどということはなく、多大な負債と施設維持費が財政を圧迫しているのが現実。

「今全世界に求められている数万人規模の集会、会議等の催事」の根拠も不明である。全世界にそんな大規模催事が求められているとは、どこが(福岡市のオリンピック招致推進委員会以外)言っているのか、明らかにしてほしいものだ。


問題点3・今の須崎埠頭の港湾機能はどうする?

須崎埠頭は主に穀物の荷揚げをしており、大規模な保管施設を備えている。ここを選手村(オリンピック後はマンションやオフィスビル)にするなら、穀物荷揚げ用の設備を他に移転しなければならない。

「おおかた人工島に移転して、評判の悪い人工島を救済する気じゃないの」と私は考えていたが、コトはそう簡単にはいかないらしい。
技術的な問題があって(水の深さなど)人工島では無理、移転先は決められていないとのことだ。
データ・マックス 市政レポートNO.534 須崎ふ頭再開発は人工島救済?〜不透明な部分多い再開発計画〜 を参照)

引っ越し先も決めずに「オリンピック施設にするからどいてくれ」って、無責任過ぎない? 九州の穀物輸入をかなり担っているという須崎埠頭の機能はどうでもいいのか。


***

結局、この意味不明な「構想」は、マンションやオフィスビルをたくさん建てて売りたい業界の夢を叶えるためのものではないかと思う。
しかし、天神の近くだって空きテナントがいっぱいあるし、マンションもそれなりにある。須崎埠頭にこだわるのは、「天神膨張策」としか思えない。
世界とかアジアとか大きなことを言っているようで、その実、天神のことしか考えてないと思うんだが。

再開発によってマンション・ビル建てる路線といい、知名度上げて大規模イベントいっぱいやる路線といい、まったく20世紀バブル時代の発想じゃないかと。

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2006.07.09

福岡オリンピック招致--ご都合主義の福岡市の説明

急に出てきた「黒字」

福岡市の一般会計は、近年、黒字になっているのだと言う。
その中から毎年30億円を積み立て、10年で300億円をオリンピック資金にする、と。(ほかに700億円を市債(借金)で用意する計画)。

では、これはいったいどういうことか?(青字:引用)

平成17年度以降、このままでは3ヶ年累計で約200億円の財源不足が見込まれます。さらに、国の三位一体改革の進展により、不足額が拡大することも考えられます。

「市政経営戦略プラン」--「財政健全化プラン」(2005年4月13日更新)(PDF)より

昨年の4月に発表したプランでは「財源不足」と言っているのに、今年になったら、なんで「黒字から積み立てが出来る」という話になるのか??

#昨年には「黒字」のデータがなかったのに、最近、ひょっこり過去数年間の黒字が見つかったんだろうか。
#昨年は財源不足の見込みだったけれど、1年経ったら急に財政の見通しが良くなったんだろうか。

要は、他の名目に入っていたお金(「その他」とか、「基金」とか)を「黒字」と言い換えて、財政に余裕があると見せかけただけだろう。

「財政健全化プラン」を策定したときはまだオリンピックを思いついておらず、「市の財政は厳しい」と、各種補助の削減や公共料金値上げを市民に承知させる。
オリンピックを思いつくと、「市の財政は健全だ」と言ってオリンピック計画を承知させる。
市民は「朝三暮四」のサル扱いされてるんじゃあるまいか。

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2006.07.08

福岡オリンピック招致--財政ダイジョーブ…じゃないよ(3)

7月6日のエントリーで「地方分権21世紀ビジョン懇談会」のデータを挙げた。
この報告書(案)をまとめたのは猪瀬直樹氏である。
報告書で福岡市が取り上げられた理由は次の通り。(青字:引用)

 地方分権21世紀ビジョン懇談会では、都道府県および政令市のなかから具体的なケーススタディーによって財政分析を行った(第8回、第9回)。対象は、財政分析指標として地方債協議制スタート(06年4月)により採用された実質公債費比率の試算値(02年度〜04年度3カ年平均)から財政状況の最も厳しい県を選び、同時にその人口規模・面積・財政需要などが同レベルで、実質公債費比率のほか起債制限比率、経常収支比率でみても財政状況が上位の県と比較した。

 政令指定市では福岡市が実質公債費比率がトップ、比較する都市として人口規模や地政学的位置から札幌市を選んだ。

 都道府県では長野県が実質公債費比率がトップ、比較する県は、人口と面積がほぼ同じで隣り合う岐阜県を選んだ

日本国の研究 不安との訣別/再生のカルテ 6月8日号)

福岡市と長野県は、政令指定市と都道府県の中で最も借金の率が高い、財政の厳しい自治体だといえる(長野県が「近年オリンピックを開催した自治体」なのは偶然ではあるまい)。
猪瀬氏は別段福岡市に恨みは無いであろう。一番借金が多いからケーススタディとして取り上げたまでだ。

福岡市の借金全体の比率は22.8%

上記引用に「実質公債費比率」という言葉が出てくる。

実質公債費比率は、自治体の会計=[一般会計・特別会計・公営企業会計]全部の借金の比率のこと。
前回書いた「起債制限比率」は、「普通会計」(一般会計+特別会計)の借金比率のこと。
ちょっとわかりにくいので図示するとこうなる。福岡市は起債制限比率17.9%、実質公債費比率は22.8%にもなるという。こちらは神戸市まで抜いて政令指定市ワーストの借金率なのだそうだ。
Syakkinzu_1

実質公債費比率は今のところ02 年度〜04 年度(3カ年平均)の試算値はあるが、03 年度〜05 年度のデータは作成されていないとのこと。05 年度決算は06 年秋に確定する。(地方分権21世紀ビジョン懇談会報告書(案)p.24)
22.8%というデータは「日本国の研究 不安との訣別/再生のカルテ」 6月15日号(猪瀬直樹氏)から取った。

福岡市の市民団体「“いらんばい!福岡オリンピック”の会」のブログにおいても、実質公債費比率22.8%と記している。

ところで、「日本国の研究 不安との訣別/再生のカルテ」 6月15日号には、猪瀬氏と福岡市幹部とのやりとりが出ていて面白い。

猪瀬氏は「財政面から福岡市にオリンピックは無理だ」と週刊文春に書き、それを見た福岡市幹部が猪瀬氏にメールを送ってきた。

「大臣の諮問機関の委員さんともなると偉くなるのですか」
「いつでも福岡に来てください。そして直に福岡の街と市政の現場を見てください。時間はとりますよ」

と書いてあったそうな。

福岡市幹部の方、どうぞ福岡の市民に会って説明してください(猪瀬氏に会うのもいいけど)。
22.8%もの借金率で、オリンピックやって、どのように財政健全化できるというのか。なおかつ子どもに夢を与え弱者にも優しいまちづくりができるのか。
日々福岡で暮らす市民の多くはこう思っている。
「人工島、博多リバレイン、ベイサイドプレイス、地下鉄七隈線…。市の大型事業は失敗続き。それでもまだ懲りずに今度はオリンピック。どれだけ無駄な金を使えば気が済むのか」

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2006.07.07

福岡オリンピック招致--財政ダイジョーブ…じゃないよ(2)

福岡市はこうも言う。

・オリンピック開催後の2015年度に、市債残高は今より1,000億円減る

オリンピックの開催と福岡市の財政について より)

「だったら大丈夫か」というと、そうはいかないのだ。
これは、「10年経っても市債残高(一般会計)がまだ1兆2,000億円もある」ことを意味している。

上記サイトの3ページ目のグラフ「市債発行額、公債費の推移見込み」を見るとわかるが、平成15〜18年にかけて減ってきた市債が、オリンピックをやることになると「減らなくなる」のだ。前日のエントリーで書いたように、市債(借りる金)を減らしてきたのは「借金減らしへの努力途中」なのであるから、その方向性を放棄するということだ。今でもまだ借金が多い状態なのに、その状態を今後10年も続けることに他ならない。

このグラフで、青い線(公債費(借金の返済))が平成16年以降高い水準で続いている。多額の借金返済が長く続いてしまうよ、ということである。
福岡市の起債制限比率(歳出のうち、借金返済の比率)17.9%は、政令指定市では神戸に次ぐ高率だ。一般的には10%以下が望ましく、15%を超えると黄信号だという。さらに、20%を超えると、原則として単独事業の起債ができないことになっている。

※ちなみに、全国の都市の平均:11% 政令指定市の平均:15.4%
政令指定市は事業の規模が大きく、多額の借金をしがちなのだと思う。
それにしても福岡市の17.9%は、神戸のような大震災があったわけでもないのに高すぎではないか。福岡西方沖地震があったが、昨年今年と市債を大幅に増やしたわけではないので無関係。

「黄信号」を10年間続けることになるのに、「借金が増えないから大丈夫」と言う福岡市は、あまりに無責任というか脳天気というか。
オリンピック開催に向けて、費用が市の予測(*)通りにいかない(施設建設費が高くなるとか、民間資金が目標額より少ないとか)場合、ヘタすると起債制限比率20%を超えてしまう。財政再建団体の一歩前のような状態で「世界に知名度を」などと言っておれるのか(別の意味で知名度上がるかも)。

いざとなったら国に助けてもらう…はもう通用しない。三位一体改革で地方への補助をどんどん減らす方向は変えられないのだから。
そうなると方法は一つ。市民負担を上げ、市民サービスを下げることになるだろう。市民に夢と希望を与えているのだから、市民はもっと金を出して、低サービスで我慢するのだと。

(*)「市の予測」がまた曲者なのだが(実はこれが一番問題)については後日書こうと思う。

ところで、
福岡・九州オリンピック・パラリンピック招致をご理解いただくためのQ&A
(アンケートに同封した資料か?)には、

現在の市債残高(一般会計)は、約1兆3,000億円です。市の年間収入(一般会計)は、毎年約7,000億円程度なので、年収600万円の家計に置き直すと約1,100万円の借金です。

とあるが、これにはインチキがある。

公営企業と特別会計の借金残高を入れると2兆7,000億円だから、年収600万円の家計に例えたら約2,300万円の借金だ。住宅ローンを組むとそれくらい一般世帯でもあるのだが、10年経ってもほとんど減らないローンって、どうよ?

2,300万円のローン返済のある人が、次の年に100万円返済し、新たに64万円を借りる。それを10年続けて、残りの借金は約2,000万円。健全な金銭感覚の人のやることではないと思う。
(国や自治体の財政を一般の家計に例えるのは妥当ではないと思うが、福岡市が例えていたのでそれにならってみた)

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2006.07.06

福岡オリンピック招致--財政ダイジョーブ…じゃないよ(1)

「オリンピック開催は福岡市には荷が重い。膨大な借金ができてしまうんじゃないか?」
市民の多くはそう危惧している(私も)。

そこで福岡市は、「オリンピックの開催と福岡市の財政について」(福岡市公式サイト)で、「財政は大丈夫ですよ!」とPRしている。

一見すると、案外なんとかなりそうかな? という気もする。
福岡市の財政は最近良くなっているふうな印象を受けるのだ。

(例)・近年は毎年度60〜90億円程度の剰余金(黒字)を生み出している。
   ・市債依存度は一般会計(歳入)の10〜12%(目標達成の見込み)。
   ・市債残高は2年連続で減少の見込み。その後も減少の見込み。

でも、なんか納得いかないなあ。
福岡に住んでいる身としては、そんな実感わかないもの。
人工島には市の税金つぎ込んでいるし、三セクの博多ベイサイドプレイスは経営破綻、去年開業した市営地下鉄3号線(七隈線)の乗客数は見込みの半分以下…。
これで財政好調、借金が減っているとは思えないのだが。

福岡市以外が出す財政データを探してみたら、こういうのがあった。

総務省 「地方分権21世紀ビジョン懇談会 報告書(案)」(PDF)
これによると、福岡市の起債制限比率 は17.9%

「起債制限比率」とは、許可についての基準であり各都道府県・市町村それぞれの歳出のうちどれだけ借金返済に回されているか、示す指標である。普通会計を対象にしている。
起債制限比率が20%を超えると原則として、単独事業の起債ができない。都道府県および政令市のうち、現状で20%を超えているのは震災復興中の神戸市の26.0%のみだが、都道府県では岡山県(18.2%)や長野県(17.4%)、政令市では福岡市(17.9%)である。

(同報告書p.23)

福岡市は、震災の打撃を受けた神戸市を除くと、借金返済の比率が政令指定市中で最も高い都市なのだ。

福岡市の言う「市債依存度10〜12%」は「歳入」であり、上記の起債制限比率は「歳出」。ここに1つポイントがある。
借りる金を減らしてきて、10%程度にしたが、返す金は18%近くあり、けっして低い比率ではない(政令指定市で神戸の次に高い)。
昔の大借金を返すのにいっぱいいっぱいなもんで、新たな借金を抑えめにしている。無論それは財政健全化のために当然の措置だが、「新たな借金抑制」自体は「健全財政のあかし」ではない。健全財政を目指している「努力中」に過ぎない。
(**を目指すのと、**であるのとは同一ではないんで)

※福岡市は五輪PRにおいて歳入の市債比率を強調して歳出の比率数値を書かない(比率が高い、と本文でさらっと触れてはいるが数値は伏せる)。そのような印象操作はいかがなものかと思う。

福岡市民一人あたりの借金は

もうひとつ疑問なのは、市は一般会計の市債(1兆3,000億円)ばかり書いていること。
※一般会計=教育、福祉、消防等、日常的業務のお金

市の借金は一般会計の他に「公営企業会計」「特別会計」にもある。
公営企業とは上下水道事業・高速鉄道事業(地下鉄)・病院事業、
特別会計は港湾整備事業(人工島事業がコレだ)など。
これらの一般会計以外の借金が、2005年度末で約1兆4,000億円、したがって福岡市の全借金は2兆7,000億円あるのだ。

しかるに市は一般会計の金額だけを出して、都市としては財政は悪くないと言っている。本当に悪くないなら、なぜ借金の半分のほうだけ言うのだろうね? 公営企業会計、特別会計の借金には触れたくないワケでもあるのだろうか(あるに決まっているが)。

地方分権21世紀ビジョン報告書(案)に、長野県、岐阜県、福岡市、札幌市の「人口1人あたりの借金残高」比較が載っている(下図 報告書p.39より引用)。
Syakkin
これを見ると、福岡市民の借金負担の多さがわかる。
(長野県、岐阜県の公営企業会計借金が非常に少ないのは、水道とか地下鉄事業を県は行わないからだろう)

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2006.07.03

福岡オリンピック招致--何のためのアンケートなんだか

福岡市は5月にオリンピック招致に関する市民アンケートをおこなった。
結果が市のサイト:アンケート調査速報値 に出ている。
自由記述の回答はまだ公表されていない。

このアンケート、「招致の賛否を問う」という肝心な設問がない。
市の作成した大会コンセプトに「まあ共感できる、たいへん共感できる」が合計52.2%。
「あまり共感できない、まったく共感できない」が合計44.5%。
会場配置計画に「まあ共感できる、たいへん共感できる」合計47.1%。
「あまり共感できない、まったく共感できない」合計46.4%。
招致に賛意を示す人はおおむね半分というところか(回答者のうちの)。

しかし、この結果を受けての市長の言い分がなんとも…orz
「市民に計画がまだ浸透していない」
(翻訳すると、「市民はまだ知らないからだ。ちゃんと説明すれば理解してくれるはずだ」の意)

アンケートには開催計画パンフを同封したんでしょ? それを見た人が回答したんでしょ? それでもなお「浸透してないから」って、じゃあ、いつ、どうやって浸透させるのだ? つーか、市民に浸透してないし要望もないのに勝手に招致を進めてるわけなんだが。

「要するに市民はわかってません」というハナシを出すためにわざわざアンケートを取ったのか。せっかく金と手間をかけてアンケートを取るなら、1年くらい前に「賛成か反対か」を聞くべきだったろうに。

しかし、このアンケートでわかったことがある。
それは、福岡市五輪招致担当者はプレゼンテーションがうまくない、ということだ。
パンフ&アンケートを送られた市民の74%ほどが「回答なし」(回収率26.3%)。
回答者の約半分が「共感できなかった」。
つまり全体の13%くらいしか、「まあまあ」も含めて共感を得られなかったのだから。

いや、そんなことはない! プレゼンは下手でないぞ、とおっしゃるなら…
そんなうまいプレゼンでも賛意が少ないくらい、市民は福岡五輪を望んでいないということだわなあ。

どっちにしろ、「やめといたほうがいい」にしかならないなこりゃ。

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2006.07.02

山笠が始まった

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うかうかしていたら、もう博多祇園山笠の季節だ。

7月1日、箱崎浜(筥崎宮--はこざきぐう--の前の海岸)でお汐井取りがあった。
浜の砂を升や小さな竹かご(テボというそうだ)に取って持ち帰り、清めにするのだ。山笠の行事はまずここから始まる。
今日は当番町の人だけ。9日に全部の流れのお汐井取りがある。

山笠のかけ声「おっしょい」は、お汐井から来ている(おしおい→おしょい→おっしょい)…なんていう話はない。見物していたら思いついただけ。

既に街には飾り山が出ている。今年はどれだけ見に行けるかなあ。

(写真中)砂を取っている女の子。
山笠は男の祭りであるが、コドモは性別にこだわらないらしい。

(写真下)筥崎宮の大鳥居を駆け抜ける。
筥崎宮の祭神は応神天皇。
伝説によると、神功皇后が新羅に出兵し、帰りに応神天皇を産んだ場所が宇美八幡宮(福岡の東の宇美町)。そのときの胎衣(えな)を箱に入れて埋め、松の木を植えた所を筥松(はこまつ)と呼ぶ。筥松近くの岬が筥崎であるという。

大和朝廷の祖先としてほぼ実在視される応神天皇が、やたら九州に縁があるのは面白いところだ。
「大和朝廷の本家は九州王朝だ」という説もむべなるかな。

ところで山笠は櫛田神社のお祭りなので筥崎宮と直接の縁は無いが、博多と近辺の寺にも神社にも伺うようである。さすがに神仏習合の国。

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