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2007.02.06

日本書紀の謎--「大化改新 隠された真相」

NHKスペシャル「大化改新 隠された真相」では、「日本書紀」述作の謎にもスポットを当てた。

森 博達・京都産業大学教授は、日本書紀の音韻と語法を分析した結果、

書記には中国人が書いた巻(α群)と日本人が書いた巻(β群)とがある

と言う。

α群はほぼ正しい漢文で書かれているが、β群は不正確な漢文(日本語ふう漢文)が多い。
大化の改新とその後について書いている巻二十四・二十五はα群であり、正確な漢文であるが、中に「中国人なら書かないであろう誤用・日本語ふう漢文」の箇所があるというのだ。

例えば

「荳以天孫鞍作耶」
→荳(あに)天孫を以(もち)て鞍作に代へむや
(どうして天皇家を鞍作(=入鹿)に代えられようか。代えられるはずもない)

入鹿を斬りつけた中大兄皇子が天皇に言った言葉だが、この語順は漢文として正しくない。「天孫」と「鞍作」が逆なのだとか。

森教授は、これらの箇所は後で加筆修正されたと見る。だから、日本書紀の大化の改新にかかわる記述はそのまま信用することはできない、と。

****

日本書紀の制作は持統天皇から元明天皇の時代に行われた。二人とも天智天皇(中大兄皇子)の娘である。また、この時代に権力を持ったのは中臣(藤原)鎌足の子・不比等だ。自分の父たちが倒した蘇我氏、特に入鹿を極悪人・逆臣に仕立てて歴史書を作ったことは当然考えられる。

こうした見方は以前から多くあったが、想像の世界を膨らませたストーリーに頼らず、遺跡や文献を緻密に分析する研究が進められることを期待する。

※森教授の著作として、「日本書紀の謎を解く--述作者は誰か」中公新書 1999 がある。日本書紀述作者は「渡来した中国人」と「漢文を知る日本人」であったとする分析過程が述べられている。読みやすいとは言い難いが、日本書紀成立の背景を考える上で非常にスリリングな内容だと思う。

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