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2007.12.25

長崎新幹線--佐賀県知事に異議あり!(2)

温泉地の浮揚に新幹線はどれほど効果があるか?

佐賀県サイト「新幹線のメリットは?」より抜粋(要約)

A2:(温泉)
 「武雄温泉駅」「嬉野温泉駅(仮称)」は、それぞれ温泉街から近い場所に造られ、新幹線駅から温泉街まで歩いていけるという全国でもあまり例を見 ない利点を持った新幹線の駅となる。
 嬉野温泉は、現状では博多から
特急+バスで約1時間40分、高速バスで約1時間55分(1日3 便)かかるが、新幹線整備後は、博多駅から直通で1時間程度になる。

「駅から近い」「博多から1時間程度」…このアクセスの良さで温泉地に客が大勢来る、というのである。

しかし、他の温泉を考えると、この考えはどうだろう?

例えば九州のみならず全国でも人気の高い由布院温泉と黒川温泉。
この2温泉は大都市から近くて便利、とは言えない。

由布院には特急が止まり、高速道路もあるが、博多から特急で2時間。
黒川温泉は近くに鉄道がない。高速道路からも離れている。福岡市から車で約2時間30分。

「近くて便利」を言うなら、新幹線をつくるまでもなく、現状の武雄温泉、嬉野温泉のほうがよほどアクセスが良いのである。

なのに、来客数は由布院温泉が400万人、小規模な黒川温泉が115万人、武雄温泉が115万人、嬉野温泉が100万人 だそうである(いずれも年間の客数)。

温泉地の人気を得るのには、交通アクセス、近さはあまり関係がないということだ。武雄や嬉野が由布院・黒川に来客数で負けてしまっているのは、交通アクセスゆえではない。理由は他にあると考えるべきである。

地域全体の交通の便が悪く、都市部から非常に遠かった所が、新幹線等で格段に近くなり、口コミでも知られて人気の観光地になる、ということはあるだろう。
しかし、武雄温泉、嬉野温泉ともに、既に充分交通アクセスの良い場所にある。
新幹線で武雄温泉は10分の短縮、嬉野温泉は30〜40分の短縮。これくらいではさしたる変化はないだろう。開業当初は「新幹線で行こう!」という宣伝で少しは増えても、新幹線と「近さ」だけ連呼しているなら、おっつけ客数は元に戻ると思う。

たぶん、武雄温泉、嬉野温泉の人たちも、「新幹線で客増える」なんて思っていないのではないか。
西日本新聞社が今年7月の参院選に際して行った佐賀県内の世論調査では、「長崎新幹線が必要」は34%、「不要」は59.1%だった。県内10市のうち多久市以外は「不要」が上回ったそうだから、新幹線駅予定地の武雄市、嬉野市でさえ市民は待望していないのだ。
(過去のエントリで「必要:28% 不要:56%」と書いたのは佐賀新聞社の調査)

*  *  *

「スハネフ14 WEBSITE」の作者・shindaisakuraさんは、新幹線に依存するのでなく、街の雰囲気づくりなどを工夫して観光振興すべき、と主張する。
由布院温泉・黒川温泉を例に挙げて考察されているので、お読みいただきたい。
(「スハネフ14 WEBSITE--長崎新幹線に対する管理人の意見(6)観光地にとって、新幹線は必要か」)

その他にも長崎新幹線についての意見が述べられ、鉄道ファンらしく細部にわたってよく考えられている。
上記本文中の温泉来客数は同サイトから採らせていただいた。ただし、黒川温泉の来客数は「『黒川温泉』ってどんなところ?」の数値を用いた。

※ところでshindaisakuraさんは高校生なのである。高校生がこれだけきちんと将来の社会、地方のあり方を考えていることに感銘を受けた。大人たちは若い世代に多大な負債のツケ回しをしちゃいかんよ、とつくづく思う。 

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コメント

 はっきり言いまして、新幹線無縁地域もそうですけど、観光振興でこれから浮揚などとは考えられません。
 たしかに、スハネフ14ウェブサイトの管理人は由布院や黒川のように観光そのものを魅力あるものにすればいいようにおっしゃいますが、それでも今の日本の経済状況ではこれらの地も始め、本州や北海道でも「観光」による人の移動もぐんと少なくなります。
 これから「増える」なんて言い方できる方もどこかに裏があるのか、自分本位なのかもしれません。
 
 もともとは、われわれ日本人の個人個人の贅沢わがままが人口減少に追いやったに等しいことですし、これからまた高度経済成長期に移行しても、みんながきちんと早く結婚し、子供を育てるではなく、当時のよう大量離婚や晩婚には変わらないと思います。
 こうして人口減少社会に移行すれば、あとあと世の中の産業の需要はもう減少一途になります。
 戦後間もないころの人たちがある面では利口です。
 それと、世界的な人口だけを見れば別に貧しい国々の方が利口です。
 先進国では「飽食」という物もありますが、人間の関係さえ希薄化しています。貧しい国ではこのようなことはないでしょうね。
 まだまだ発展途上の国のあり方も見直す必要もありますね。

投稿: ロイヤル/ソロ  | 2007.12.26 13時12分

コメントありがとうございます。
全体に社会が縮小していくのですから、あちこちの観光地で客が増加!とはいかないでしょうね。
しかし、「どうせ観光なんてダメだし、公共事業の末端にぶら下がっておこう」という考えに走ってしまったらそれも悲しいものがあります。
すでにそうなっている面があるのかもしれません。

投稿: kiriko | 2007.12.26 20時57分

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