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2007.12.20

新幹線つくってる場合かい?(2)--利益享受と税金投入

なぜJR九州は長崎新幹線をつくりたがるのか? 経営に「大余裕」なんかないのに。

答えは簡単で、

長崎新幹線建設費用は国と自治体が出してくれる。JRは負担しなくていい。

からである。
これを「上下分離方式」というそうだ。
「JRは負担しない」を正確に言うと、

JRは施設を借りて賃料を払う。ただし、利益の範囲内で。

一方、在来線の改修や整備はJRが自前で負担しなければならない。
だから新幹線が良いのだ(JRにとっては)。

なあんだ。これでは国鉄と同じではないか。税金でつくってやるんだから。
一体国鉄を民営化した意味があるのかと。

鉄道事業に税金投入すること一般が悪いとは思わない。
生活の基盤になっている鉄道(や公共交通)ならば公的に面倒みて維持してもいいと思う。
だけど、長崎新幹線で結ばれる地域には既に在来線がある。
新幹線と比べて30分も違わないような路線が。
まるきり公共交通がない地域にコミュニティバスを走らせたり、高校生が通う鉄道維持などとは事情が異なる。投入する税金額もケタ違いだ。

小泉首相以降、政府が叫んできた「構造改革、財政再建、税金の無駄遣いをなくす」のスローガンは、こと新幹線に関してはまったく範囲外ということなんだろう。なにしろ整備新幹線の音頭をとっているのが小泉氏の派閥のボスだからして、新幹線は聖域なんだわな。

新幹線だったら国がどーんと金を出すというしくみ、いつまで続けるのか。
これをやっているから、国も自治体も借金が増えるのだ。
そういう「ぜいたく品つくって国が金を出す」を実行し、結果、大借金を抱えてしまった自治体が、今、国から見放されて大変なことになっている。

整備新幹線事業は同じ未来を辿るのではないかと思う。
国が鉄道に金を出すのは、ATMATS装着とか、災害復旧とか、踏切整備とか、そういうのに補助したらいいんじゃないのか。
なんでたった30分の短縮に血道を上げなくてはならないのか、まったくもって不思議。

※長崎新幹線について、よくまとまっているレポートがあったので紹介する。
 長崎大学のゼミ学生のレポート(PDF)らしい。少々古いが事情は今も同じだと思う。

*  *  *
追記〉
「在来線の改修や整備はJRが自前で負担しなければならない。」と書いたが、100%自前、ではないらしい。国からの補助も一応ある。
在来線の改良:国の補助が26.7% JRと地元自治体が73.3%
整備新幹線:国の補助が66.7% 地元自治体が33.3%(そのうち地方交付金が15%あるため、実質地元負担は18.3%)

在来線改良に使える国の予算は全国で4億円くらい。
国の補助があるにしても、新幹線とはえらい違い。

それにしても、「長崎--博多を20数分短縮したいので、北海道から沖縄まで全国の皆さんの税金○○○○億円ください!」って、すごい地域エゴと思わない?
鹿島市長に対して「地域エゴで新幹線に反対している」という批判があったけど、「地元の鉄道が第三セクターになりひいては廃線になってしまう」という危機感からの“エゴ”のほうがよほど理があると私は思う。
「但馬牛食わせろ」と「おにぎり食べたい」くらい違いがある…。

訂正〉
ATMじゃなくてATSだった。なんか変だなと思ったんですがうろ覚えで…。

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