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2008.07.07

なぜ公務員の年金は会社員の年金より高いか?

ある人のブログのコメントに触発されて、このエントリを書く。

そこでは「『公務員は多すぎる!』か?」というエントリが書かれていた。
(「デザイン夜話」sivaprodさんのblog)
本文はリンク先をご覧いただくとして、私が一つ気になったのは、コメント欄から派生した話で

「公務員の年金(共済年金)は民間会社員の年金(厚生年金)よりも平均受給額が高い」

ということである。
※ここでいう受給額とは、老齢年金のことを指す。

一般にこうした認識だと思う。私もそう思っていた。

厚生労働省の調査(2005年)では、
共済年金の受給平均額(月額):
 国家公務員 22.4万円
 地方公務員 23.2万円
厚生年金の受給平均額(月額):
       16.9万円

YOMIURI ONLINE 「“官尊民卑”100年温存」より)

確かに6万円ほどの「官民格差」がある。

では、この差は一体なぜ生じるのだろう。

公務員に優位な制度があるのではないか?
公務員のほうが現役時代の給与が高いからではないか?

答えは、いずれもYes,ではある。

しかし、ここで「やっぱり公務員優遇し過ぎ、けしからん!」と噴き上がるのはちょっと待って。
中味をもうちょっと検討してみよう。

1. 公務員に優位な制度---職域加算の存在
公務員の共済年金には「職域加算」という「上乗せ」がある。月に約2万円ほどである。
現在、共済年金と厚生年金を一元化し、職域加算は廃止する案が出ている。

2. 公務員は給与が高い
上記の職域加算を差し引いても、4万円ほどの差がまだある。これが「公務員と会社員の給与の差」ではないかと。

だが、ここに、従来見過ごされがちだったものが隠されている。
それは「男性と女性の格差」である。

会社員の厚生年金受給平均額:16.9万円(月)であるが、
男女別に見ると
男性会社員:19.6万円
女性会社員:11.0万円

YOMIURI ONLINE 「医療と介護」より)

同サイトより引用

 このデータは、厚生年金に原則として20年以上加入していた人だけを対象に、年金額を集計した結果です。

 女性が男性を大きく下回っているのは、出産や子育てで仕事を離れざるを得なくなったり、賃金の低い仕事をしていたりする例が目立つからです。

 このデータで、男性の平均加入期間が34年7か月なのに対し、女性は23年8か月で、11年ほど短くなっています。年収の平均額(推計値)も、男性513万円、女性284万円で、女性は男性の6割弱です。

つまり、民間企業会社員の年金受給平均額が公務員より低いのは、女性の受給額が低いためである。

公務員の場合、賃金の男女差が少ない。長く勤務する女性が多い。
民間企業では、女性が結婚・出産後も正規で勤め続けることが非常に困難であった。正規社員を続けた女性でも、昇級昇給や昇進で差別を受けていた。
現在老齢年金を受給している人たちは、そういう時代に働いていたのだ(残念ながら今でもこの傾向はあるのだが)。

もう一度、男性会社員の平均年金額を見ると、19.6万円。
これに職域加算の2万円を加えると、21.6万円。
公務員の水準にかなり近くなる。

それでもまだ公務員より低いが、これはおそらく、大企業・中小企業・零細企業の給与水準の差によって、若干引き下げられているのだと思う(私の推測)。

私は、あえて言いたい。

年金の「官民格差」よりも「男女格差」のほうがはるかに大きいのだ!

「官民格差」って言うな! 「男女格差」って言え!

※まあ、官民格差があるのも事実だし、言っちゃいかんわけじゃないんだけどね。公務員の年金には、職域加算の他に、遺族年金の範囲が厚生年金より広いとかの問題もあるので、そういうところを改善していくのはいいと思うんだけど。

年金制度で公務員が「やたらに」優遇されているわけではない。
(年金受給額を算出する計算式は、共済年金も厚生年金も「基本的に同じ」である)
年金受給額において、男女格差の反映である実情を無視して「公務員がやたらに優遇されてケシカラン」と公務員バッシングをするのはインチキである。

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コメント

トラックバックありがとうございます。

とても説得力のある考察ですね。
それにしても自分たちの待遇をせめて公務員並に、と声を上げるのがなぜそんなに難しいんでしょうか。

公務員の待遇を虐げられている自分たち並に、という希望がかなえられても自分たちの生活が楽になるわけではないでしょうに。

投稿: SIVA | 2008.07.07 22時25分

SIVAさん コメントありがとうございます。

自分がシンドイ思いをしているから、“恵まれた”人たちをひきずりおろしたい、という人が多いのでしょうかねえ。
公務員の給与・年金が不当に高いのか、民間の側が不当に低いのか、中味を検討しないと、ただの八つ当たりになってしまいます。
SIVAさんのとこで話題になった「公務員所得の国際比較」も同じ構図があると思うんですが。

投稿: kiriko | 2008.07.09 06時04分

公務員の年金が多いのは税金から補助が有ることが理由の一つであり、厚生年金の不正な運用で厚生年金の受給額が減額された事が一番の原因である。此処にはその記載がなく事実を隠蔽しようとする意図が明白である。本来であれば公務員の年金基金から補填すべきであるにも関わらず責任を誤魔化す事に必死で笑える。

投稿: 池さん | 2014.03.24 21時36分

池さん

厚生年金基金の運用と共済年金とどういう関係があるのですか。具体的に書いてください。

投稿: kiriko | 2014.03.24 21時46分

色々と理由を書き連ねていますが、皆さんは公務員のがなぜ共済会なのか考えた事はありますか?それは、年金と区別し、出鱈目な運用を避け自分達の源資を守る為です。その証明で公務員の年金に減額する予定は一切ありません。
皆さんは役人が保身の為に勝手に運用した年金の損失に我慢出来ますか?厚生年金の不正運用で有名な箱物に付随した常識を逸脱した給与と非常識な従業員数を忘れましたか?
私は正当な業務を行っている公務員にはもっと給与を支払うべきと考えています。
今一度、公務員の賃金体系について考える必要があると思います。
余りにも自分達の私利私欲に走る公務員と、その事実を隠す事に必死な輩には、自分の襟を正すように警鐘を促します。

投稿: 池さん | 2014.03.25 22時37分

グリーンピアのことを言っていたのですか。
私はここでそういう話をしていません。
グリーンピア等による損失に我慢ができないのなら、訴訟でも起こしてください。
私は公務員でも元公務員でも公務員の家族でも関係団体所属でもありません。

投稿: kiriko | 2014.03.25 23時36分

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