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2009.01.05

地下鉄の赤字

約1年前のエントリにコメントをいただき、いろいろ考えることがあったので新たにエントリを書いた。

↓1年前のエントリはこちら

福岡市地下鉄の今後(1)」(2008年1月24日・記)

コメント

>七隈線が2年続けて60億円台の赤字。他線(空港線、箱崎線)の黒字を
>食いつぶしてなお全体での赤字を出しているという現実がある。
仙台市交通局のホームページの
南北線経営状況
http://www.kotsu.city.sendai.jp/zaimu/sub/21keiei/19index.htm
の特に
●総論編【総論・収入・支払利息・減価償却費】
http://www.kotsu.city.sendai.jp/zaimu/sub/21keiei/souron.htm
この辺を読まれてから
福岡市交通局
http://subway.city.fukuoka.jp/index.html
の経営状況を調べてみてはいかがでしょうか?

投稿: poppy | 2008.12.30 22時29分

ご紹介いただいたサイトを見た。

「●総論編【総論・収入・支払利息・減価償却費】」のページ内容は、かいつまんでいうと

「地下鉄事業には多額の建設費・設備費がかかり、多くの借金をして行う。その借金の利息支払や減価償却費がかかるため、地下鉄の営業収支は始めのうちは膨大な赤字にならざるを得ない。しかし、それら(利息・減価償却費)は年を経れば減少し、営業は黒字に転換する」

ということだろう。同ページは仙台市地下鉄南北線の「赤字」を上記のように説明している。

さて、それを踏まえて私の書いたエントリを読み直すと、「赤字」の内容を検討していないために不備な書き方があることに気づいた。

さりとて、延伸せずに放っておけば毎年60億円程度の赤字(七隈線のみでは)。

吉田市長は、2年連続60億円台の赤字という結果を見て、さすがに看過できないと考えたのだろうか。こんな状態が10年続いたら600億円の赤字になってしまうから。

(「福岡市地下鉄の今後(1)」2008年1月24日 より引用)

今後も年60億円の赤字が続くだろうという書き方だった。

地下鉄事業の支出内訳で大きいのは利息支払と減価償却費なのだから、これは誤認というものだ。

上の記述は今後の赤字をオーバーに見ていたので、撤回する。

  *  *  *

しかしながら、地下鉄七隈線の経営状態が悪い、という認識に変わりはない。

4年前に開業した七隈線が赤字なのは仕方ないとして、問題は赤字の額ではないだろうか。

2005年度:67億円の赤字
2006年度:62億円の赤字

開業前の「計画」ではどうだったかというと

2005年度:31億5500万円(赤字)
2006年度:27億8900万円(赤字)

予定だったのである。両年度とも、実績では35億円前後赤字が多くなってしまっている。(数字は福岡市交通局のサイト>交通局のご案内>経営状況>財政収支計画「福岡市高速鉄道財政収支計画(3号線)」(PDF)より)

各年で35億円ほど赤字が多かったのは、「乗客数が見込みの5割以下」という実態がそのまま反映されていると思われる。

(「計画」では乗車料収入の予定が

2005年度:67億9500万円
2006年度:68億9800万円

だったが、実際の乗客数は5割以下なので、乗車料収入もこの半分以下だった計算になる。数字は上と同じ「福岡市高速鉄道財政収支計画(3号線)」(PDF)から採った)

支出のうち、利息支払と減価償却費は減少するとしても(※)、予定より30億円以上少ない運賃収入、というのは非常にイタイ。

福岡市交通局は、七隈線の単年度収支は平成27年度(2015年度)に黒字になり、累積でも平成38年度(2026年度)には欠損金が解消する、と予測している。

だが、収入のほとんどを占める乗車料収入が「予定の半分以下」を続ければ、この黒字転換予想も大幅に違ってくる。「福岡市高速鉄道財政収支計画(3号線)」の表で計算すると、平成50年(開業35年目)になっても黒字になりはしないのだ。

自治体の事業は利益を出すのが目的ではないし、公共交通の充実は営業収支に直接現れないメリットがたくさんある(住民の利便性向上、交通渋滞の緩和、交通事故減少、資源や環境への影響、等)。だから少々の赤字であってもやるほうが良い事業はある。

…だけれど、甘すぎる見通しのもとに多大な税金を投入し、財政を圧迫することになるのは困ったもんだよねぇ…。

※補足

利息支払は年を追うごとに減少し、いずれゼロになるが、減価償却費はゼロになるわけではない。鉄道施設・車両が老朽化して、改修や新車両購入をする必要があるから、事業を続けていればずっとかかる費用ではある。ただ、事業を始めた当初のほうが減価償却費が高額だということのようだ。

仙台市交通局のサイト「●総論編【総論・収入・支払利息・減価償却費】」にもそのへんのことは一応書いてあるけれど、「減価償却費は順次減少し、あとは低いところに留まる」という印象を生じさせるような書き方だと思う。福岡市地下鉄の財政収支計画を見ると、必ずしもそうではないのだが。施設改修・車両購入時期になれば、一旦減った減価償却費がまた増えたりする。そこをぼやかしているのはちょっとズルイかなと。当事者(交通局)のサイトだから都合の悪いことは書かないのだろうけど。

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