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2009.07.19

かけ算の順序問題・覚え書き

ちょちょんまげさんのブログエントリ「掛け算の順序の話」に興味をひかれたので私の思うところを書いてみる。

●かけ算の文章問題を式に書くとき、順序を逆にすると「不正解」なのか?

【問題】
みかんが3個ずつ4枚のお皿に盛ってあります。みかんは何個あるでしょう。

一般的には

3 × 4 = 12 こたえ:12個

であるが、これを

4 × 3 = 12 こたえ:12個

と書いたら、「答えは合っているけど式が合っていないから不正解」とする教師が一部にいるのだという。

「不正解」とする主旨は

・答えだけ合っていても、プロセスが正しくない
・「考え方」が大事である
・「かけられる数」「かける数」を順序正しく書かなければならない

といったものである。

これらの主張をするサイト事例:

http://www.inter-edu.com/forum/read.php?903,1013957,page=1
http://ultramarutti.blog26.fc2.com/?no=595
http://anothertrack.hp.infoseek.co.jp/others/0028.htm
http://anothertrack.hp.infoseek.co.jp/others/0029.htm
http://www.eonet.ne.jp/~mnzbo645/kakekakerare.htm

●プロセス・考え方が大事だ、というのはもっともだが、では、順序が逆だとプロセス・考え方において決定的にマズイところがあるのか?

私の考えでは「別にマズくない」なんだけど。

上の問題を図にしてみた。

(A):「3個のみかん」を先に書く

Kakezan1_3
 

(B):「4枚のお皿」を先に書く

Kakezan2_2

(B)のプロセス・考え方にマズイところは見いだせないのだが。

「順序を正しく書け」派の考え方のポイントは次の通り。

(1)「かけられる数」が先に来なければならない

(2)先に書いた数量の単位=答えの単位 である

(A × B = C のとき、Aの単位 = Cの単位)

しかし…

そんな法則とかルールがあるのだろうか?

それは「かけ算の基本」なのだろうか?

かような法則の心当たりもないし、少し調べてみたけれど、やはり、そんなルールは存在しない。

そもそも、かけ算を習った後の算数・数学で、この(1)(2)はあっさり否定される。

中学の数学では記号を使う。 を2倍する場合であっても2 と書く。2 ×= × 2である。

中学どころか、小4くらいで

正方形の面積は … 一辺の長さ(m)× 一辺の長さ(m)= 面積(m^2

って出てくるではないか。長さの単位(mとか)と面積の単位(m^2とか)は違うものでしょ。

で、こういうことを「数学なんて知らねーよ」という人が言うならまだしも、現職教員や塾教師が書いているので困ったものである。

●なぜ「順序を正しく」を金科玉条にする人がいるのか

「かけられる数を先に書く」と、かけ算を最初に学習するときに割と理解しやすいのではなかろうかと思う。
上に挙げた図を見ると、(A)図のほうがスンナリ考えられそうな気がする。

しかし、それは「理解しやすそうな方法」にすぎず、「それ以外は間違い」とするものではない。

ちょちょんまげさんによると、アメリカでは「かけられる数」を後に書くのだそうだ。冒頭の問題文でいうと、4 × 3 = 12 がアメリカの初等教育のスタンダードな書き方らしい。
なので「かけられる数を先に書く」のが断然理解しやすい、とも言えないのだ。

日本語の問題文では「かけられる数」が始めに出てくることが多いからじゃないのかな、とも思う。(「3個のみかんが…」とか「1個50円の○○を…」等で問題文が始まる)

「かけられる数を先に」とはその程度のもんじゃないかと。
その程度のものを、「その通りじゃなきゃ不正解」とか「考え方がダメ」呼ばわりは不当であろう。

「先に書いた数量の単位=答えの単位」というのも、「かけられる数が先」と決めるからそう考えてしまうだけだ。

普遍的でもない定義をして、それに縛られているのだと思う。

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コメント

 初めまして。

 「蜜柑と皿のように個数なら(1つあたり)と(いくつ分)は逆転可能だが、速度と時間、密度と体積などは、逆転できない」

というもっともらしい反論も順序派からはありますが、再反論が可能です。

時速5㎞で3時間歩いた場合の距離を考えてみます。なお、扱う数が整数か非整数かは本質的ではありません。

3時間歩く場合の距離を考えると、1㎞/hあたり3㎞です。

だから、3㎞/(㎞/h)とすることで、

 3㎞/(㎞/h)×5㎞/h=15㎞

と出来ます。hを㎞/(㎞/h)に書き換えただけですが。

 □×△に関して、
□が1増えれば全体は△増える。
△が1増えれば全体は□増える。

どちらが1つあたりで、どちらがいくつ分か、などというのはナンセンスである。

どちらで解釈しても構わない。

で、各自理解しやすい方で理解すればいい。1時間あたり5㎞で、それが3つ分だから15㎞という方が自然に理解しやすいのは認めるが、一方のみが正しくてもう一方が間違っているということではない。

 「考え方が大切だから」というなら、教える人も考えてほしいものですね。

 考えれば考えるほど、かけ算は本質的に交換可能な2項演算であり、前後の非対称性は最初のかけ算の便宜的定義に見かけ上現れるに過ぎない。交換可能だからこそ、首尾一貫した整合性のある論理が構築されることに気づきます。

投稿: 積分定数 | 2009.07.19 12時36分

こんにちわ。
私も小学校に行く娘がいるので非常に興味深い内容でした。
先生方の主張からすると問題が「4枚のお皿にみかんが3個ずつ盛ってあります。みかんは何個あるでしょう。」だったら「4 × 3 = 12 こたえ:12個」で良いということになりますね。

これは算数というより国語に近いんじゃないでしょうか。先生方の主張は屁理屈に見えますね。

先生方の主張である「主旨」はマニュアル人間が答えそうな答えです。その根拠はなにか?と問い詰めたら「教科書に書いてあったから」とか「一般的に教えやすいから」とか返ってきそうです。

一方的に「間違い」というのではなく「4 × 3 = 12 こたえ:12個」というプロセスを導くクセが付くことは将来的にこういう弊害が起きる。など具体的なデメリットを挙げてもらいたいものです。「間違い」というには「それがもたらす影響」が一切ないのが悪いですね。

結局大人の都合ってやつなんですかねぇ。今度学校の先生に聞いてみようかな(笑)

投稿: D++ | 2009.07.19 15時11分

積分定数さん

コメントありがとうございます。そちらにTBを送ったのですが、通ってないですね(ココログは通らないことが多いようで)。

> 「蜜柑と皿のように個数なら(1つあたり)と(いくつ分)は逆転可能だが、速度と時間、密度と体積などは、逆転できない」<

これもどうにもわかりにくい理屈なんですよね。
見積書や請求書には「数量・単価・金額」の順に書きます。※日本でもこれが一般的
5(P)×5,000(円/P)=25,000(円)
↑これと
時間×時速=距離
は同じ感覚で「いいんじゃないのこの順でも」と思うのですが。

投稿: kiriko | 2009.07.20 12時43分

D++ さん コメントありがとうございます。

>先生方の主張からすると問題が「4枚のお皿にみかんが3個ずつ盛ってあります。みかんは何個あるでしょう。」だったら「4 × 3 = 12 こたえ:12個」で良いということになりますね。<

ところが、この場合でも「3×4」じゃないとダメ、とする先生もいるので…。

式を書いたときの「4」は何か、「3」は何か、答えの「12」は何を表しているか、がわかっていれば、4と3は逆でも良い。というふうには考えないようです。

>「間違い」というには「それがもたらす影響」が一切ないのが悪いですね。<

順序を逆に書くとその後の学習理解に悪影響、という実証はされていないと思います。ただ、「見かけの相関関係」はあるかもしれません。
算数に興味を持てない→教師の話を聞いてない→逆に書く
算数に興味を持てない→その後の理解度も悪い
(逆に書くことが原因では全然ない)

現場の先生の話をもっと聞いてみたいところです。ネットでは「順序こだわり派」の先生の話ばかり目についてしまいますが。

投稿: kiriko | 2009.07.20 13時14分

>ネットでは「順序こだわり派」の先生の話ばかり目についてしまいますが。

きわめて希有な例がありました。絶滅危惧種?
「文科省の馬鹿げた・・」は事実誤認だとは思いますが。

>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1227858512
>小学校教員です。
正直な話、どちらの問題のお子さんの解答、問題集の解答、どっちも正解です。
つまり、どうでもいいんです。
一あたり×いくつ分という順番にこだわる教え方をしてる教員が多いですが、そんなものは文科省の馬鹿げたやり方にはめられてる頭の固い教員です。

投稿: | 2009.07.20 22時49分

kirikoさん、お邪魔いたします。
ご言及ありがとうございました。

kirikoさんの可愛いみかんとお皿の絵を拝見して、小学校で掛け算を習った頃すでに「将来は画家」は有り得ないことを知った自分を思い出して少々嫉妬しておりました。(kirikoさんがお書きになったかどうかはともかく、そのデザイン感覚自体が私の羨望の対象です)
そのころはまだ、「総理大臣」、「野球選手」等はあきらめておらず、がんばれば「天皇」になれるのかと思ってました(笑)が、絵に関しては「こりゃ、画家は無理だわ」と悟らされたものでした。

それはともかく、その「みかんとお皿の絵」できれいに整理された論点を見ても、「順番はどっちでもいっしょじゃん」としか言いようがないですね。

投稿: ちょちょんまげ | 2009.07.21 12時01分

>投稿: | 2009.07.20 22時49分

この書き込み、名前を書き忘れました。失礼。「積分定数」です。

投稿: 積分定数 | 2009.07.21 16時23分

積分定数さん

情報ありがとうございます。
確かに。文部科学省が順序まで決めているのではないですね。

「過程を重視する」、もしくは「この順だと理解しやすい」という主旨が、「この通りでないといけない」と硬直化しているのが困ったところだと思います。

投稿: kiriko | 2009.07.23 00時59分

ちょちょんまげさん コメントありがとうございます。

アメリカでは日本と逆に読むことを知り、「へぇ〜」と思いました。ならばなおさら、順序にこだわる必要ないじゃないかと。

>kirikoさんがお書きになったかどうかはともかく<

<強調>私 が 描いたんです</強調>
もっとも、これが私の商売の一部なんですが…。お褒めくださいましてありがとうございます。

算数・数学の理解に、実物・模型・イラスト・図…等、目に見えるものを使ったり、言葉で説明したりしますが、やりようによってはおかしな具合になりかねない、と、一連の関係サイトを見て感じた次第です。

ついでに宣伝:左サイドバーのリンク、「ステレオグラム&数学の部屋」もご覧くださいまし。

投稿: kiriko | 2009.07.23 01時25分

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