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2009.08.20

配偶者控除は低所得層に多いのか?--配偶者控除と所得階層

民主党のマニフェスト--子ども手当と配偶者控除・扶養控除」にいただいた、ゆうくんパパさんからのコメント

国税庁の申告納税者の統計では、所得200~250万円の納税者は44%が配偶者控除を適用されていますが、所得5000万円超では25%しかいません。
たぶん、金持ちの奥さんは、旦那の会社の役員になったりしていて、配偶者控除はもともと関係ないんだと思います。
配偶者控除を廃止したら、困るのは金持ちではなくて低所得者です。

(コメントから一部引用)

このデータが気になるので新しいエントリを書きます。

■申告納税者とは?

「申告納税者」とは、一般の給与所得者(税金を源泉徴収されている人)でなくて、自分で税金申告する人(自営業・農業・不動産や利子や配当所得がある人、給料の高い人〈2000万円以上〉、等)のことだと思う。

だとしたら、「所得200〜250万円」の「所得」とは、「年収」「収入」のことではない。

■所得と収入は違う

所得と収入の関係:
自営業者の所得= 収入(売上金額)− 必要経費
給与所得者の所得=収入(給与)− 給与所得控除

当然、収入>所得 になる。
「所得200万〜250万(円)」は「収入200万〜250万(円)」とは違うことを踏まえるべきと思う。

自営業の場合は事業内容によって必要経費がいろいろなのだが、給与所得者は収入により給与所得控除が定められていて、所得200万〜250万円は収入312万〜380万円に相当する。夫婦二人で収入312万〜380万円を「低所得」と言うかどうかは微妙かと。
(もし妻がパートで100万程度の収入を得ていれば合計収入は400万を超える。その場合は低所得の部類に入らないだろう。それでも配偶者控除対象だけど)

■所得250万円と5000万円超の「間」は?

所得が5000万円超というトンデモなく高収入の例が出されているのだが(麻生首相の年収より多い)、では200万〜250万と5000万〜の「間」の配偶者控除適用率はどうなのだろう?

データの出所を示していただけるとありがたいのだが…。
ネットで調べても、申告納税者の所得階層別・配偶者控除適用率は見つからなかった。
その代わりにこういうデータがあった。

政策効果分析レポート No.15 個人所得税の課税ベースと税負担について」
 図表3/4(PDF)
Haigusya

諸控除(配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・住宅借入金等特別控除・生命保険料控除)の所得階層別適用者割合のグラフ。

水色が配偶者控除、赤紫色が配偶者特別控除を表す。横軸は給与階級(所得でなく収入)。配偶者控除・配偶者特別控除は有配偶者に占める割合。

国税庁「税務統計から見た民間給与の実態」2000年、厚生労働省「国民生活基礎調査」2000年より作成。

民間企業に雇用される給与所得者のデータだから、ゆうくんパパさんがおっしゃった「申告納税者」とは対象が違うようだ。給与階級に5000万超レベルは入っていない(最高は〜1500万円)。

このデータを見ると、全体的に高所得者のほうが配偶者控除の適用率が高い。配偶者特別控除は〜1500万円レベルでガクンと下がるが、これは配偶者特別控除が所得1000万円以上に適用されないためだ。

給与所得者は次の事情があるため、配偶者控除のメリットが高い。

・年金保険の扶養家族になれるので、配偶者は保険料負担をしない(年金、健康保険、介護保険←40歳以上)

・会社から扶養家族の手当が出る。税金の配偶者控除対象を条件に手当を出す会社が多い。

ただし、上記は給与所得者が正社員の場合である。非正規で社会保険非加入の人にはこうしたメリットはない。

また、配偶者控除は所得控除なので、税率の高い階層(=給料が高い)のほうが減税額が大きい。所得税率5%の層→1.9万円、税率10%の層→3.8万円、税率20%の層→7.6万円、…税率40%の層→15.2万円

正社員、特に給料の高い社員にとって、配偶者控除は税金減額でもその他でも「おトク」があるのだ。上のグラフで「給料の高い層のほうが配偶者控除の割合が高い」のは頷けることである。

■申告納税者は事情が違うのか?

申告納税者(自営、農業、不動産・利子・配当所得、高給…)は給与所得者とは違って低所得者のほうが配偶者控除適用が多いのだろうか?

たぶん、金持ちの奥さんは、旦那の会社の役員になったりしていて、配偶者控除はもともと関係ないんだと思います

(ゆうくんパパさん)

「金持ち」に限らず、自営業・農業者は配偶者を「専従者」にできる。青色申告でも白色申告でも専従者の給与は配偶者控除額(38万円)よりずっと高くできるのだから、夫婦でお店や農業をしている人に配偶者控除を使うメリットはない(配偶者も働いているのだから労働対価を出すのが当然だし)。

ともかく、「申告納税者の統計」で「所得200万〜250万の配偶者控除適用は44%」といったデータの元がわからないことには、何とも言いようがない。
ゆうくんパパさん以外の人でもいいので、元データがおわかりになる方はぜひ教えてほしい。
 

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コメント

元のデータは国税庁の「平成19年分申告納税者の実態」です。
国税庁のホームページの「統計」のところにあります。
エクセルデータでダウンロードできますから、計算してみてください。

投稿: ゆうくんパパ | 2009.08.20 19時24分

さきほど、「申告納税者の実態」と書きましたが、「申告所得税の実態」の間違いでした。訂正します。
なお、民間給与所得者についても、最新の平成19年分のデータで、年末調整をしていない年収2500万円超の納税者のデータまで使って比較すると、高額所得者で配偶者控除の適用率が低くなっているのがわかります。
このデータも国税庁ホームページの「統計情報」のところにあります。

投稿: ゆうくんパパ | 2009.08.21 00時36分

私のコメントをとりあげていただき、ありがとうございます。
データとして紹介されている給与所得者のデータについて、ひとこと言わせてください。
このデータだと、年収1000~1500万円の層が、一番、配偶者控除の適用が高くなっています。
それは事実だと思いますが、このデータには、年収1500万円超の場合が抜けています。
元の国税庁のデータを見ますと、年収1500~2000万円では68.4%、年収2000~2500万円では50.1%、年収2500万円超では37%と、収入が高くなるにつれて、適用率が低下しています。
「金持ちの適用率が低い」というのは、給与所得者も申告納税者も同じだと思います。

投稿: ゆうくんパパ | 2009.09.09 13時57分

ゆうくんパパさん

>「金持ちの適用率が低い」というのは、給与所得者も申告納税者も同じだと思います。<

それはこちらのエントリで書いていますよ。

「配偶者控除は低所得層に多いのか?(その2)」
低所得層→配偶者控除適用・低
中所得層→徐々に高くなる
高所得層(1000〜1500万)→最高
超高所得層→中所得層並みに下がる
===============================
ゆうくんパパさんと私とでは、注目するところが違うので、話がズレています。
ゆうくんパパさんは「高所得層より超・高所得層のほうが(配偶者控除)適用率が低い」とおっしゃっていて、高所得層同士の比較をしています。
低所得層(収入で200万円以下、申告所得で100万円以下)の数値はまったく無視していらっしゃいます。

高所得層より超・高所得層のほうが低いから、配偶者控除は低所得層に多い、と言えるのですか。1000万円〜2000万円は低所得層ではありませんよ。

投稿: kiriko | 2009.09.09 23時06分

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