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2009年12月

2009.12.22

子ども手当・のようなもの にいくら使われてきたか

鳩山首相は「子ども手当に所得制限しない」と言った。
ひとまず、良かったと思う。

世論調査で子ども手当の支持が今ひとつ高くないのは、総額5兆円以上の規模ということ“も”あるのだろう。

ところで、これまで「子ども手当 のようなもの」に1円も支出しておらず、政権交代でいきなり「子どもに5兆円」支出が増える!…というわけではない。

「子ども手当 のようなもの」=子どものいる世帯への直接給付
は、政権交代前からあった。次の2つである。
・扶養控除(16歳未満の子を扶養する人が対象) 約8,000億円
・児童手当 1兆160億円(※ただし、国・地方・事業所の拠出合計)

合計 1兆8,160億円

これを子ども手当に替えて5兆円(初年度は半分)、というのが民主党マニフェストの政策。
3兆円以上増えることになるけれど。

「扶養控除+児童手当」(従来の政策)と違うのは次の点。
・0歳〜中学卒業までに広がった(児童手当は0歳〜小学校卒業まで)
・すべての子どもが対象(親の所得は無関係)
・みんな同額(児童手当はきょうだいの数や三歳未満、などで金額が違う)

シンプルに「すべての子どもに」が体現されている。
対象が広がり、一人の支給額も上がるので、総額が増えるのは当然だ。

「シンプル」のメリット

子ども手当がシンプルなのは、「社会全体で子どもを育てよう」という理念からである。
そして、そのシンプルさによるメリットもある。

(1)手続きにかかる時間・経費が少なくてすむ
従来の扶養控除、児童手当は、どちらも所得によって適用されたりされなかったり金額も違ったり。支給決定、金額確定までの手続きも煩雑。そこに手間暇かけるのは結局お金を余計にかけることになる(子どもへのお金、じゃなくて、手続きのためのお金。児童手当支給のため、窓口の自治体全部で何億円かはかかったらしい)。
子ども手当だって役所の経費はかかるが、親の所得がいくらだ〜〜とか言わない分、費用圧縮になるだろう。

(2)所得による逆転現象が起きず、所得抑制せずにすむ
所得で区切られないので、「これ以上稼ぐと損だから所得を抑えておこう」という後ろ向きの策を親がやらずにすむ(配偶者控除の問題点はまさにここにあるのだけど)。
児童手当は金額が大きくないのと目立たなかったのとで、そんな所得抑制策までやる人はほとんどいなかっただろうが、もしも「児童手当をう〜んと増やす」という政策を所得制限つきでやったら、出てくる可能性大である。そして「所得を抑える」ことができるのは非正規労働・自営が多い。パートやバイトを年末休むとか。非正規で働くのは夫より妻が多い。→→ああ、また女が世帯収入のために自分の収入を抑えるのか。そういうのはもうやんなくていいようにしようよ。

(3)他の政策の目的・対象・方法が明確になる
「子どもへの支援」に所得制限という所得の再配分の要素を持ち込むと、他の政策もこれとの兼ね合いでまた複雑になる。
「年収○○○万円以上は子ども手当が貰えない。○○支援も高所得だからと受けられない。その上累進税率強化なんて冗談じゃないっっ」というわけで所得税率には手をつけられないとかね。
子ども支援は子どものため、所得税率は所得再配分、と。互いに分を守る(妙に入り組んだ仕組みにしない)ほうがどちらもしっかりやれるのではないか。

※上記を考えると、やはり子ども手当の所得制限をしなくて正解だ。鳩山さん、よく考えてくれたと思う。というか、所得制限しようと言い出したのが変だ。

しかし、怪我の功名というのか、所得制限つけろつけない問題が出てきたおかげで、子ども手当の意義・主旨をあらためて意識することになったのは良かったかな。

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2009.12.20

子ども手当と扶養控除(追記・訂正あり)

「そもそも子ども手当は必要ない」という人がいる。ただのバラマキだ、と。
私はそういう人にお聞きしたい。

では、現行の扶養控除(中学生以下の子どもの扶養控除)も必要ないとお考えですか?

扶養控除は子どもを扶養している人の所得税を減税するもの。
これも、個人(世帯)にお金を渡しているのと同じ。バラマキだといえばバラマキだ。
昔からあるものだし、選挙公約として注目されたことがないのでほとんど目立たないが、

「子ども手当なんてバラマキはやめろ」という人が
「扶養控除なんてバラマキはやめろ」と主張するのを見たことがないので
不思議だなあと思う。

金額的に子ども手当より少ないから扶養控除はあっても構わない、のか?
(バラマキ批判なら金額の大小の問題ではないはずだけど)

それと、次のような主張にも疑問を感じる。
「子ども手当に賛成だが、扶養控除廃止で財源を出すのは反対」

つまり、子ども手当も扶養控除もどっちもやれ、と。

共産党の政策がこれに近い。

 フランスやドイツなどヨーロッパ諸国では、子育て世帯に非常に手厚い手当が給付されており、経済的な心配なしに子育てすることができます。
 将来的にそうした水準をめざしつつ、当面、第1子・第2子の児童手当を小学6年生まで月額1万円に増額するとともに、18歳までの支給年齢の引上げをめざします。その際、扶養控除、配偶者控除の廃止などのいわゆるサラリーマン増税との「抱き合わせ」での手当増額はおこないません。
(日本共産党 「2009年総選挙〈各分野政策〉子ども・子育て」より)

扶養控除は高所得者ほど減税額が大きい。扶養控除を維持しつつ子ども(児童)手当を出すということは、高所得者ほどプラスが大きいということだ。

「金持ち優遇」を批判する党の主張がこれでいいんですかね?
共産党の児童手当(案)には所得制限があるのかな? 自公政権の児童手当と同じ860万円かな?
仮に手当に所得制限をつけたとしても、「所得が高いほうが減税額が大きい」という扶養控除の構造は変わらないので、
「年収200万の人より800万の人のほうが『手当+控除による減税』が多い」
「年収1,000万の人より5,000万の人のほうが『控除による減税』が多い」
という「逆進性」「高所得者のほうが支援額が大きくなる不公平性」はしっかりあるんだけど。
金持ち優遇を批判し、低所得者を支援すべきと主張する党がこういう逆進性「高所得者のほうが支援額が大きくなる不公平性」無視というのはどうも納得がいかない。

それよりも、民主党の「子ども手当を出し、該当する年齢の扶養控除廃止」のほうが逆進性「高所得者のほうが支援額が大きくなる不公平性」がなく、すべての子どもに平等だといえる。
※ただしこれは所得制限をしない子ども手当の場合。所得制限するとまた話がややこしくなる。

   *   *   *
〈12月21日追記・訂正〉
「逆進性」という言葉を使ったのは間違いでした。ゆうくんパパさんよりご指摘いただきました。ありがとうございました。
私が問題にしたのは「所得に対する比率」ではなく、「高所得者のほうが支援額が大きくなる不公平性」です。子どもに関する扶養控除は、子どもを育てる負担に対する支援だと言えます。しかるに、高所得者のほうにより多く支援額が行っている。所得の高低にかかわらず子育ての負担があるのに、所得の高いほうに多額の支援をするのは不公平ではないか、ということです。
ゆうくんパパさんのコメントから使わせていただくと、
・年収500万円の人には3万8000円
・年収5億円の人には15万2000円
同じ「子ども一人を育てている」場合でもこういう差があるわけです。
〈追記:ここまで〉
   *   *   *

〈おまけ〉
子ども手当を親が子どものために使わず、パチンコ代になるんじゃないかといった批判がある。
配偶者控除や扶養控除に同じことを言う人は寡聞にして知らない。
「配偶者控除を奥さんのために使え。亭主のパチンコや飲み代にするなよ」「配偶者控除は妻バウチャーにしろ」「扶養控除を子どもバウチャーにしろ」…って、誰も言わないなあ。
所得控除は目の前、あるいは預金通帳にはっきりした金額で示されるものじゃないからね。全然意識しないのだろう。「廃止される(らしい)」と言われて初めて意識するっつうか。

控除も手当も同じ「子どもがいるから発生する」ものなのにね。まあ、それで家計にいくらプラスだとか、財源がどれだけ必要かとか、使い道がどうだとか、これだけ広く話題になるのだから(扶養控除や従来の児童手当に一言も言わなかった○○学者やらコンピュータおたくまで含めて)、それはそれで結構なことかもしれない。

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2009.12.18

子ども手当--所得制限をする意味はあるか?

民主党がマニフェストに掲げた子ども手当、ここに来て「所得制限をつける」案が浮上している。

どれくらいの制限か?
・児童手当と同水準(年収860万円くらいまで支給)
・年収2,000万円くらいまで支給

具体的にはこの2案かな。

児童手当(860万円未満)は約9割が支給対象。2,000万円までとすれば99%以上が支給対象になるという(朝日新聞によると)。

気になるのは、所得制限をすると、所得捕捉や事務手続きの手間が増えるのではないかということ(所得制限なしで一律なら子どもの年齢だけで対象が決められるんだけど)。
手間が増えれば費用も増える。この費用は市区町村負担?

所得制限する理由が「費用削減のため」であるなら、

手間(=費用)をかけて少ない対象者の額を削減。差し引きしたらかえって出費が増えた

では意味ないよねえ。

単に「鳩山さん(お金持ち)のお孫さんにも手当を出すのか」という気分をおさめるだけ、という結果になってしまう。

※結構ありがちな話だけどね。社長さんが「業務のムダを省くためにコレコレをしろ」と社員に命じたやり方がかえって余計な仕事増やしになっちゃったよ、みたいなの。

実際の手続き事務を行う自治体はどうなんだろうか。所得制限はありがたくなさそうなんだが。
制限額を引き下げれば、「削減できる額>所得制限にかかる手間の費用」になるけれど、あまり下げたら子ども手当の主旨から大きく外れることになる。

私は、所得制限をしないで「一律で予定より支給額を少し下げる」のほうがマシな気がする。
1%を対象外にするより、13,000円の1%(130円)を引いたらどうかい?
10%を対象外にする(児童手当の所得制限並み)より、13,000円の1割引きで。
(端数が出るとそれも面倒なので適当なところで丸めて)
所得を捕捉して対象を分ける手間がないし。

「金持ちの子に手当出すのは気にいらんから」という気分の問題よりも、計算して実質的にプラスのほうがいいではないかなあ。

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「ブラタモリ」横浜中華街45度の謎

古地図で町歩きの「ブラタモリ」(NHK総合)がレギュラー番組になって喜んでおります(^^)

昨日は「横浜の巻」。
中華街の道路の向きが周辺と約45度ズレている。

なんでだろう?
と私も思っていた。

その謎を解くには、横浜開港の頃--幕末までさかのぼる。

当時の横浜は、江戸湾に細長く出っ張った、文字通り「横に長い浜」の村だった。
この横長の浜に港を開き、貿易施設や外国人居留地を作ったのである。
※神奈川の端っこにある小さな横浜村を港にしたのは、日本人とのトラブルを避けるためだったそうだ。「攘夷!」を叫ぶ血気盛んな人もいたからねぇ…。

横浜には西洋人だけでなく中国人も大勢やってきた。日本で貿易をしたかった西洋人は清国から来た人が多く、言葉や商習慣の違う日本人を相手にするには中国人の仲介が重宝したのだ。中国人は日本人より先に西洋人に触れており、一方で日本の文化や習慣にもある程度通じている。日本語はわからなくても漢字を書けば意思疎通ができたから。
また、中国人独自で貿易に来た人も増えたのだろう。
やがて居留地の一角に中国関係の店や施設ができた。
その場所は、「横浜新田」と呼ばれる、浜がちょいと湾曲した地帯だった。
浜の方向に沿って道路を作ったものだから、他地域とは方向が合っていなかった。

「ブラタモリ」では浜に沿って埋め立てを行い、道路を作ったと説明されていた。
一説では、横浜新田のあぜ道をそのまま使ったためだと言う。
いずれにしても、かなり急いで町を作ったことが伺える。都市計画を考える時間もなかったんだろうね。

平城京・平安京にしろ城下町にしろ、町の建設には道をどう作るかの思想があるわけだが、幕末からの急激な変化の舞台にたまたまなってしまった小さな村(横浜)にはそんな余裕がなく、まずは人・モノがあふれるように行き交って「都市」の仲間入りをしたようである。

※開港前〜開港後の横浜の地形がわかるサイトはこちら→「目から鱗 街道を歩く13 神奈川宿と横浜3
開港前(幕末)の地図を見ると、今の横浜市の中心部、ほとんど海の中ですねえ。

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2009.12.13

子ども手当--地方自治体負担に反対する知事たち

「子ども手当の財源の一部を地方自治体に負担してほしい」
という案に対し、7府県の知事が反対を表明。「強行するならボイコットする」と言ったそうだ。
(神奈川・大阪・群馬・静岡・和歌山・岡山・宮崎の知事)

これは「子ども手当は国が出す、とマニフェストで謳ったはず。自治体にも負担せよというのは約束違反だ」ということかな。
約束を守るべきだというのはまあそうなんだろうが…。

しかし、それでは、その知事さんたちは、従来の児童手当にはどう対応するつもりなんだろう。

「子ども手当」の類は民主党が初めて実施する政策ではない。
自公政権では「児童手当」を出していた。
平成21年度予算で 総額1兆160億円、対象人数は1148万人。0歳〜小学6年生まで。所得制限あり(子ども2人で年収860万円までの世帯)
財源は 国:2692億円、地方自治体:5682億円、事業主拠出金:1786億円

民主・社民・国民新党政権が子ども手当を実施すれば、当然この児童手当は廃止、というか、子ども手当に替えられることになる。
だったら自治体・事業主も同程度の額を負担して良いんじゃないの?

「ボイコットする」って…
つまり、「ウチの県(府)は1円だって出さないぞ」ってこと?
児童手当はどうするの? 政権が代わったんだから「それも負担しないぞ」なの?
じゃあ、政権交代しなかったら出すはずだった児童手当分、出さなくて済んでしまうのかいな。
なんかよくわからない話だなあ。

自公政権の児童手当のときはどうだったんだろう。自治体はみんな賛同してたのかい?
賛同なのかシブシブなのか無理無理なのかはともかく、自治体が負担していたのは事実だよね。
その分を国がまるまる出すことで、自治体はその負担金を他の育児支援策に使えるという目算があったのかもしれないが(保育所が足りないなどの問題はあるし)。
それとも自治体の児童手当負担がなくなって、支出削減できるとホッとしていたのか。

神奈川県の松沢成文知事は

衆院選の民主党マニフェスト(政権公約)を手に「子ども手当に、地方負担を求めると書いてない。発言を撤回していただきたい」と声を張り上げた。
神奈川新聞社:カナロコ ローカルニュース より)

と言うのであるが

松沢知事は、普天間の移設問題では

「県外、国外の移設は不可能だと思う」との認識を示し、現行のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設計画を実施すべきだとの考えを表明した。
神奈川新聞社:カナロコ ローカルニュース より)

てなことも言っていたのである。
民主党のマニフェストで「見直す」と書いているものを「見直すべきでない」と。

ふ〜〜ん…

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2009.12.03

事業仕分け--長崎新幹線推進が「満額」だったわけではないよね

何かと話題の「事業仕分け」(行政刷新会議)。

その中で「長崎新幹線(九州新幹線長崎ルート)」の建設予算が「要求通り」と聞いて「え?」と思ったのだが。

実は仕分けで判断されたのは「長崎新幹線建設の可否」ではなかった。
「要求通り」になったのは「事業番号1-71 整備新幹線建設推進高度化等事業費補助(フリーゲージ走行試験経費等)」。

長崎新幹線でフリーゲージトレインが導入されており、その走行試験経費等の予算が「要求通り」だ、という話。

行政刷新会議の事業仕分け・11月27日:整備新幹線建設推進高度化等事業費補助(国土交通省)
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov27kekka/1-71.pdf

仕分けでついた意見は
● 着実かつ効率的な執行を図るとともに、確実な成果を期待する。
● 将来のある技術だと思う。
● ロシアに売れるように研究を進めるべき。ここぞ日本の力という所か。知的財産収入の国への分配収入を作るべき。
● 実用化の目途を確認しながら、慎重に行って欲しい。来年度で見極めて欲しい。
● 早くフリーゲージを実用化し、そのことを前提に、新規新幹線着工はやめるべき。
● 国の財政事情・執行率を考えて、コスト削減の工夫を考えるべき。
● 予算縮減努力は常に行っていただきたい。
● 発注経費を抑制する。
● 財政状況を鑑み、補正措置分等については、事業を先送りすべきである。
● 経済設計調査は、国で今でなければならないという理屈は理解できない。フリーゲートも見直しを待つべき。

  *  *  *

どうも、「フリーゲージの開発は進めていい」ということであって、「長崎新幹線を作れ」というわけではないようであるが。

長崎新幹線建設にフリーゲージが前提になっているから、フリーゲージ予算がダメなら長崎新幹線もダメだ、とは言える。
しかし、フリーゲージ予算がついたから長崎新幹線オーケー、ではないよね。
フリーゲージの技術と新幹線建設とは別の問題があるわけだから。

むしろ「来年度で見極めて欲しい」と、厳しい条件がついたのではないかと。

※私は、フリーゲージであろうとフル規格であろうと、長崎新幹線は不要だと思うよ。
沿線の人口は福岡市を除いて増える見込みはなく、需要が大きいとは思えず(在来線で充分)。
佐賀県の高速交通網として、海沿い(在来の長崎本線)をローカル化して、内陸側だけに集中する必要もなく。
博多--長崎の時間短縮30分程度に大金をかける必要はなく。
長崎から福岡以遠(大阪、名古屋、東京)へは飛行機の利用が多いのではないかと。

長崎新幹線については「新幹線つくってる場合かい?」「佐賀県知事に異議あり!」等で書きました。

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