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2010.01.13

子ども手当と扶養控除--「控除から手当へ」の流れとして

「子ども手当」を創設して「年少扶養控除(15歳以下の子どもが対象)」を廃止するのを
「安易に財源を充てただけだ」
と批判する人もいるが、私はそうは考えない。

扶養控除を「より良くしたもの」が子ども手当だと思う。

扶養控除のままで、なんでイカンのか? 扶養控除じゃ少ない、というなら、控除額を増やせばいいんじゃないの?
…という疑問への答え:
→扶養控除は不公平なんです。「高所得者のほうが控除額が大きい」=お金のある親に、より多くの支援をしている。お金の少ない親に、少ない支援しかしない。

扶養控除は所得控除のため、所得税率が高いと、実際に控除される額が大きくなる。
所得税率が5% : 38万 × 0.05 = 1.9万
所得税率が10% :38万 × 0.1 = 3.8万
所得税率が20% :38万 × 0.2 = 7.6万
 …(中略)
所得税率が40% :38万 × 0.4 = 15.2万 (←個人所得税の最高税率の階層)

年少扶養控除が「子育て負担に対し、個人をお金で支援するもの」であるなら、
「金持ちには15万円支援するが、低収入の人には1万9000円の支援」て、ヘンでしょ。

それで提案されたのが「税額控除」である。
算出された所得税額から直接差し引くものだ。高所得者も低所得者も、税額控除であれば同じ金額の支援になる。

が、しかし。もう一つ問題が残る。収入がさらに低くてor収入がなくて「控除するほどの所得税額」にならない場合だ。所得税が1万円だったら、控除額が5万円でも10万円でも1万円引いただけで終わり。所得税非課税だったらゼロはゼロのままである。こういう人たち(貧困層と言っていい)には税金の控除はほとんど支援にならない。

そうした人たちへの支援にもなるのが「給付つき税額控除」である。
税額控除をしてマイナスになったら、マイナス分を支給するのだ。「負の所得税」とも言われる。
高所得者にも低所得者にも、所得税非課税の人にも、同額を支援することになる。
…と、これは、手当支給と同じことなのだ。

扶養控除を子ども手当に替えるのは、こうした考えが背景にある。

扶養控除では支援にならない人たちとして、児童養護施設で育つ子どもたちがいる。親に扶養されていないから、扶養控除がいくらあろうと彼らには無関係だ。子ども手当は施設で育つ子どもも対象である(これまでの児童手当も対象だったそうだが)
親に育てられる子は、進学して仕送りを受けたり、親元を離れるときのアパート入居費用や当面の生活費を親に出してもらったりする。子ども名義で貯金する親も少なくない。
そうした、親からの支援を受けられない子どもたちには社会が支援してしかるべきだし、意味無しの扶養控除よりも手当が断然良いではないか。

<1月23日追記>
児童手当は施設で育つ子どもを対象にしていなかったことが判明したので訂正します。
1月23日のエントリを参照してください。
<追記ここまで>

ところで、子どもに関する手当や税額控除は諸外国で行われている。

資料1 主要国の児童手当、税制による子育て支援の比較(2009年):PDF
東京財団・制作研究:給付つき税額控除具体化PT第2回研究会報告 12月11日研究会資料(税)より)

イギリス:児童手当(所得制限なし)+児童税額控除(高所得ほど控除が減少)
スウェーデン:児童手当(所得制限なし)
ドイツ:児童手当+児童扶養控除(所得控除。児童手当よりも控除税額が大きくなる場合に適用)
フランス:児童手当(所得制限なし)+n分n乗方式により、子どもの多い世帯ほど税負担が軽減
アメリカ:児童税控除(税額控除)
ーーーーーーーーーーー
アメリカには児童手当はないが税額控除があるんだね。
イギリス・スウェーデン・ドイツ・フランスは基本的に所得制限しない児童手当。

「自助努力」の社会であるアメリカ(公的医療保険制度すら社会主義的だと批判される)で児童税額控除があるのが面白い。
ドイツは「一旦全員に児童手当が支給され、児童扶養控除の適用については税の申告時に精算される」という。

自公政権の「扶養控除(所得控除)+児童手当(所得制限あり)」は税控除と手当の併用だが、所得制限のボーダーの人(世帯)ではかなり複雑だったのではないか。
所得・所得税の算出自体、いろんなケースがあり、他の控除(配偶者・特定扶養・一般成年扶養・老年者…等)との関係で制限を超えるとか超えないとか。税率や児童手当の金額・対象は割と短期間で変更があるし、児童手当が受給できるんだかできないんだか、制限年収を超えた場合いくらまでが損になるとか、わけわからなくなりそう(わけわからんので手当の申請をしない人もいたかも。まさか、申請しづらくするために制限かけたわけじゃあるまいけどね)。

従来の制度(扶養控除)を補完するような手当の継ぎ足しでなく、手当として一本化(少なくとも手当がメインになる)方式を私は支持する。
子どもへの支援に限らず、個人への支援は所得控除から給付つき税額控除に替えていく方向をとってもらいたいと思う。

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コメント

>資料1 主要国の児童手当、税制による子育て支援の比較(2009年):PDF
>(東京財団・制作研究:給付つき税額控除具体化PT第2回研究会報告

ああ、またまたいい資料を見つけましたね。
(諸外国の子ども手当ては、前に調べたことがあるけど、
そのときは、一国ごとにサイトを探したのでした。)

アメリカには子ども手当てがない、というのは
聞いていたんだけど、税額控除がなされるのですね。

投稿: たんぽぽ | 2010.01.13 23時12分

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いまさらだけど、ヨーロッパのいろいろな国の、 「子ども手当て」についてのサイトがあるのでご紹介します。 「ドイツの少子化対策」 「スウェーデンの手当て制度」 「子ども手当」(フランス) 「児童手当を考えてみました」 これらはつぎのエントリからリンクされていま..... [続きを読む]

受信: 2010.02.10 22時09分

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