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2010.01.22

子ども手当と扶養控除の比較--扶養控除は高所得者優遇

グラフ(1):子ども手当と扶養控除の比較 年収階層別。子ども手当は満額(2011年度予定)
グラフ(2):扶養控除+児童手当の合計額 年収階層別。2009年度
※グラフ作成:ブログ管理人

Kodomo_1

(注)グラフを少し修正しました。年収500万円は所得税率10%の範囲と判断しました。(2011年1月29日)

(1)のグラフを見れば、扶養控除が高所得者に有利になっているのが一目瞭然。
子ども手当の満額(月額26,000円)は諸外国と比べても高水準であるが、扶養控除は最高税率の高所得者に月額15,000円を超える減税を行うものだ。一方、低所得者の扶養控除は月額4,300円程度である。
だから、子ども手当に所得制限しろと主張する人たちが、「高所得者に月額15,000円の手当を支給するのと同じ効果になる扶養控除」をなぜ批判しないのか、不思議でならない。

(2)のグラフは児童手当と扶養控除の合計。(2009年度)
所得制限(年収860万円)のため、変則的な形になっている。

●グラフの赤い棒:3歳未満、もしくは第3子以降の3歳〜小学6年。月額10,000円。
年収500万くらい〜860万の「中〜中の上」所得の人が最もプラスが多く、860万をちょっと超えた人が最も少なくなる。
児童手当には所得制限があるから低所得者向け支援のような気がするが、実は、控除と合わせると、低所得者への金額は最高税率の高所得者よりも少ない。
・年収300万以下
 扶養控除〈所得税〉19,000+〈住民税〉33,000+児童手当120,000=172,000(円)
・年収3,000万以上
 扶養控除〈所得税〉152,000+〈住民税〉33,000=185,000(円)

子どもが3歳以上になると児童手当が半額になるので、低所得者への金額はさらに低下する。
(ただし、3人目以降の子は半額にならない)
●グラフの薄い黄土色:第1子・第2子で3歳〜小学6年。月額5,000円。
・年収300万以下
 扶養控除〈所得税〉19,000+〈住民税〉33,000+児童手当60,000=112,000(円)
・年収860万ちょい(所得税率20%)
 扶養控除〈所得税〉76,000+〈住民税〉33,000=109,000(円)
・年収3,000万以上
 扶養控除〈所得税〉152,000+〈住民税〉33,000=185,000(円)

「子どもが1人か2人で、3歳〜小学6年」だったら、年収300万円以下の人への金額は、児童手当のない年収860万円ちょっとの人に近い水準になっている。つまり、所得税を納める人の中では育児支援額が最も少ない部類になってしまうのである(扶養控除適用しなくても課税所得が52,000円未満の人はさらに支援額が少ない)。

所得控除方式の扶養控除を続ける限り、高所得者のほうが有利な構図が維持される。
それに、扶養控除は15歳まで続き(児童手当は小学校卒業まで)、その後は特定扶養控除(16〜22歳)、成年の扶養控除、老年者扶養控除、配偶者控除、と、高所得者に適用率の高い控除が各世代まんべんなく用意されている。
だから私は、「弱者の味方」を掲げる政党が所得控除を続けたがるのは納得いかないのである。

(グラフについて:注)
扶養控除は年少扶養控除(15歳以下の子を扶養)のみ。所得税の控除と住民税の控除の合計。
所得税の控除:税率5%、10%、20%、23%、33%、40%。38万円の所得控除。
住民税の控除:税率は年収にかかわらず一律10%。33万円の所得控除。
年収から基礎控除・給与所得控除・社会保険料控除を考慮しておおよその課税所得を考えた。厳密な計算でないので、誤差があるかもしれません。
 参照:国税庁:所得税の税率
年収は扶養控除が適用される人の個人年収であり、世帯収入合計額ではない。
他の人的控除(配偶者・成年扶養・老年者・障害者など)は考慮していない(多様なケースがあり、複雑になるため)。 

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