自民党の子ども政策--選択と集中
ずっと民主党の子ども手当に注目してきたが、ここで自民党の子ども・家庭政策を見てみる。
自民党のスタンスは
・子ども手当には反対
・児童手当の拡充
・扶養控除・配偶者控除を継続
・3歳〜就学前の保育園・幼稚園の保育料無料化(マニフェスト2010版に明記)
である。
0歳から15歳(中学生)までの子ども政策(世帯に対する支援策)をグラフにしてみた。
【自民党の子ども政策の特徴】
・子どもがどの年齢であっても、どの所得階層であっても、専業主婦世帯のほうが共働き世帯よりも支援が多い(非課税世帯を除いて)。
これは配偶者控除の効果と、一般的に 幼稚園保育料>保育園保育料 だからだ。
(保育園は児童福祉法に基づく福祉施設であるが、幼稚園は学校教育法による教育施設)
・専業主婦世帯同士、共働き世帯同士では、高所得層のほうが低所得層よりも支援が多い傾向がある。
扶養控除・配偶者控除は所得控除のため、高所得者により多くの減税をおこなっている。
保育園(認可)の保育料は所得に応じており、幼稚園の保育料は自治体が低所得者に減額措置をしている。したがって高所得者ほど保育料が高く、保育料無料化のメリットが大きい。
児童手当の所得制限のため年収860万の上下で若干の逆転が見られるが、収入0〜約860万の中では高所得のほうが支援が多く、収入860万超〜の中では高所得のほうが支援が多くなっている。
・子どもの年齢・所得階層・専業主婦かどうかで支援額が大きく違う。
3〜5歳の幼児のいる世帯に最も多くの支援をし、中学生のいる低所得世帯には支援が少ない。
年収3,000万円超で高額幼稚園に通わせている専業主婦世帯への支援額:70万円を超える。
(保育料が70万以上の幼稚園もあるので、全額無料化するなら100万を超える)
年収300万円以下で中学生のいる共働き世帯への支援額:5万5000円以下。非課税世帯なら0。
民主党の子ども手当が「0〜15歳(中学生)まで一律の手当」であるのに比べ、自民党の政策は「選択と集中」型であると言えよう。
選択と集中の対象はどちらかといえば高所得者・専業主婦世帯であり、自民党らしさが表れていると思う。
また、3歳〜就学前の幼児期にも随分力が入っているが、これは何だかよくわからない。
保育料無料化は幼児教育の義務教育化と同時期に出されたので、その絡みからかもしれない。
しかし義務教育である小・中学校については私立校の授業料無料化なんて言ってないのだがなあ。
幼稚園は小・中学校と違って圧倒的に私立が多いから、カネ出さないと義務教育化を言うわけにもいかない、という思惑だろうか。
中学生に関しては税控除だけ、つまり納税額が少ない世帯には支援が非常に少ないわけで、幼児期との違いが際だっている。低所得世帯には就学援助があるけれど、国から補助を出すのは生活保護世帯に限られ、生活保護でない低所得世帯への補助は2005年度以降廃止、自治体だけの支援になった。
子どもが成長するにつれて格差増大をあと押しするような策だなーと。
※グラフについて
保育料は自治体・園によって違うので、かなり大雑把にしている(なので、棒グラフの上のほうにボカシがかかってる--よくわからないかもしれないけど(笑))
保育料参考:
東京都文京区の認可保育園保育料
保育料の高い私立幼稚園
保育料はきょうだいの二人目・三人目で減額になるが、ここでは子ども一人で考えている。
参考:民主党の子ども政策のグラフ(月額13,000円の場合)
こっちは描くのが簡単だった(^o^) グラフ化が簡単なほうが良いってもんじゃないが。
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