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2010.08.03

高校無償化と公私格差--マスコミが言わないこと

朝日新聞西部本社版7月8日付朝刊の記事:
「2010参院選 現場から問う【9】〜高校無償 消えぬ格差」についての疑問を以前書いた。
朝日の記事に疑問--高校無償化をめぐり(1) (2)

これに関連して書いておきたい。

同記事は

家計が厳しくても、公立に落ちれば私立に行くしかない。他に選択肢がなかった生徒たちの訴えがビル街に響いた。

と書いている。そして、現行の無償化制度は公立と私立の格差、低所得者と高所得者の格差を放置するものだと印象づける。

しかし、この記事を書いた記者は

なぜ家計が厳しいのに私立に行くしかない生徒がいるのか

その根本的な理由を考えたことがないのだろうか。

「公立に落ちたから」…とは、公立の定員が減らされているから、公立希望者全員を受け入れない。したがって私立に行くしかないのである。

公立高校の定員を減らしているのは各都道府県の教育委員会である。

子どもの人数はどんどん減っている。団塊の世代、団塊ジュニアの世代が受験する頃には公立高校が新設され、定員が増えた。その定員のままであれば、公立を希望する生徒を全員受け入れることが可能だ。しかし、都道府県教委は定員を減らし、高校の統廃合までしているのである。

なぜ公立の定員を減らすかといえば、公立が希望者全員を受け入れたら、一部の私立高校が経営難におちいるからだ。

そのことを一概に批判はできない。私立高校は公立が不足していた時代から生徒を受け入れ、高校教育を担ってきた。子どもが減って公立で受け入れ可能になったからと、ハイお役御免、生徒不足で経営難になったら勝手に潰れてください、というのも無体なことだろうと思う。

だけれど、家計が苦しくて公立に行きたいのに行けない生徒を生み出しているのは、そうした「都道府県教育委員会の方針」によるものなんだから、そのことも問うていく必要があるのではないか。

経済的に厳しい家庭の授業料負担をなくし、高校教育を最低限保障しようというなら、公立が希望者全員を受け入れるのが根本的な解決策ではなかろうかと思う。
(親が高所得で、あえて高額授業料の私立高校に行かせるのはそれぞれの自由であり、そういう人がいても構わないが)

公立の絶対量が不足しているならともかく(保育所はそういう状態だが)、量的には充分作られている公立高校を減らしてまで私立校に子どもを行かせ、授業料の高い分を税金で補填していくのは、果たしてどうなのだろうか。

高校無償化で「格差」「家計が厳しい家庭」の問題を考えるなら、この「公立定員縮小」を知らんぷりすべきではないと思う。新聞記者はそこまで考えてなかったかもしれないが、文部科学省の幹部が知らないはずはない。
もちろん、政権与党も野党も、当事者の自治体も、方針をはっきり説明し、有権者に問うことが必要ではないかと。

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