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2011.01.20

児童養護施設と子ども手当

児童養護施設にタイガーマスクetc.からプレゼントや寄付が寄せられたというニュースが盛んだった頃、新聞にこんな投書が掲載された。

「政府は子ども手当の分を削って、児童養護施設の子どもたちの支援をすべきだ」(要旨)

投稿者はちょっと誤解している。施設の子に子ども手当は無縁、何も支給されてないと思って憤慨しているようだ。

実は、子ども手当創設に伴い、児童養護施設の子どもには「手当に相当する金額」が支給されることになったのだが。

参照:2010.01.23「子ども手当を施設で育つ子にも」

政権交代以前の児童手当は、施設の子どもを対象にしていなかった。ましてや、年少扶養控除は施設の子への支援にならない。
子ども手当によって初めて、施設の子どもへの支援金が他の子どもと同等に出るようになったのだ。

…ところが、実際の運用にいろいろ不備や問題があった。

・施設の子どもには「補助金」という名目なので、その年度に使い切らねばならない。将来に備えた貯蓄はできない。

・親(など)がいる場合、その人が子ども手当を申請して受け取っていると、施設にいる子に補助金が出ない。施設が補助金を受け取った後に、親(など)に手当支給されたことが判明したら、施設は補助金を返還しなければならない。

去年、施設の子にも手当に相当する支援が出されると聞いて、良かったというか当然だよねと思ったが、なんと、こんな問題があったとはねー。

補助金だから単年度使い切り、って…。なんでそうなっちゃうの(嘆息)。

この件、厚生労働省は「貯蓄してもよい」と発表したそうだ。

 厚生労働省は14日、児童養護施設などに入所している子どもを対象に今年度支給した子ども手当相当額の支援金について、使わなかったお金を貯蓄できるようにすると発表した。支援金は安心子ども基金から拠出されるが、これまでの規制では未使用分は年度末に基金に返すよう求めていた。

 政府は通常国会に提出する子ども手当の関連法案で児童養護施設に入っている子どもを支給対象に加え、貯蓄に関する制約もなくす方針だ。 (日本経済新聞web刊 2011/1/14 21:16の記事)

記事によると、来年度からは補助金でなく子ども手当にするということだね。

親(別居中)が子ども手当を受け取る件については次の記事。

 厚生労働省は14日、児童福祉施設や里親家庭で暮らす子供の「子ども手当」を児童本人に給付する方針を固めた。これまでは「面会などがあれば一定の養育がある」などとして別居の親に支給してきたが、子供のために使われているとは限らないなどと指摘され、見直すことになった。
(毎日新聞 1月15日(土)2時31分配信 記事のリンク先はYAHOO!ニュース

施設の子ども以外でも、親が別居中の場合には別居している親でなく同居の親に手当支給することになる。
DVなどで母親と子どもが父親と離れているときに、父親が手当を受け取ってしまう不合理をなくすということだ。

〈追記〉
厚生労働省は、児童養護施設の子ども支援のあり方を検討する会議を設置するという(NHKニュース)。
子ども手当のこともあるが、(別居の)親が同意しないため、インフルエンザ予防接種ができない子がいるとか…。「親権者の同意」という法律が、別居の親の「印籠」になって子どもの権利を阻害することもあるのだなあ。

そもそも「親権」という言葉自体、ヘンだよね。親には子どもを養育し保護する「義務(責任)」はあるけれど、「親の権利」って、何の権利だろう? 権利があるのは子どものほう。
もう法的にも「保護養育責任」という言葉に替えたらどう? 親が権利を持つなんて、子は親の所有物、親の自由にできる、という発想があるんではないか。

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コメント

「親権」って、なんか跡取りが欲しくて、子どもを取りっこしている両親の実家(両家)を背景とした「権利」って感じもします。「子ども占有権」みたいな…。

地域社会とかに対抗的な「親の権利」、あるいは「教育を受けさせる権利」があるとしても「親」の権利かどうか。

離婚の時にどちらが「親権」を持つのか、が問題になるんですよねえ。例えば子どもが事故にあって加害者が保障や慰謝料を払う時、受け取る(管理する)権利みたいなものもふくまれるのかしらん。法律に無知だからわからないのですが。

投稿: kuroneko | 2011.01.22 01時26分

kuronekoさん こんにちは。

行政その他に対する「親の権利」は、あるといえばあるけれども、それは子どもの権利の代行者ということですよね。子どもは異議申し立てや訴訟ができませんから。
法的には、親権者が子ども(未成年者)の代理人として訴訟を行うことができる、ということのようです。
子どもが被害者で賠償金等を受け取ったら、当然それは子ども自身のもので、親権者のものじゃないでしょうね。

親権という言い方は戸主が絶大な権限を持った戦前の制度の名残のようにも思います。

投稿: kiriko | 2011.01.22 11時19分

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