社会

2015.04.02

未婚女性は未婚男性の5倍管理職になっているのか?(クローズアップ現代のデータから)

女性管理職NHK「クローズアップ現代」3月31日放送。
「シリーズ いまを生きる女性たち② 次に続くあなたへ ~“均等法第一世代”からのメッセージ~」で、次のデータ(グラフ)が紹介された。

Cba69izuiaahqua

「管理職の男女比較」として、管理職の「未婚/配偶者子どもあり」をそれぞれ男女別に比率を出したものである。

これを見ると、配偶者・子どもありで男女の比率が大きく違うことと共に、未婚者の男女比も随分な差があることが見てとれる。

未婚者では女性が男性より5倍も管理職になっている? え?
女性の管理職はすごく少ないんじゃないの? 未婚者に限ると女性のほうが男性よりずっと多くが管理職になっているの?

このカラクリは、「何に対する比率か」つまり「母数は何なのか」である。

続きを読む "未婚女性は未婚男性の5倍管理職になっているのか?(クローズアップ現代のデータから)"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013.05.04

女性は正社員より非正規のほうが多く結婚するか?

男性の非正規就業者は正社員より未婚率が高い。

女性は逆に非正規就業者より正社員のほうが未婚率が高い。

※厚生労働省 「平成22年社会保障を支える世代に関する意識等調査 報告書」

このデータから「女性は正社員のほうが結婚しない人が多い(非正規就業者のほうが多く結婚する)」と考える人がいる。
(例えばこの記事など。 BLOGOS 「未婚男性と非婚女性の少子社会」 土堤内 昭雄)

しかし、本当にそうだろうか?

続きを読む "女性は正社員より非正規のほうが多く結婚するか?"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.12.22

子ども手当・のようなもの にいくら使われてきたか

鳩山首相は「子ども手当に所得制限しない」と言った。
ひとまず、良かったと思う。

世論調査で子ども手当の支持が今ひとつ高くないのは、総額5兆円以上の規模ということ“も”あるのだろう。

ところで、これまで「子ども手当 のようなもの」に1円も支出しておらず、政権交代でいきなり「子どもに5兆円」支出が増える!…というわけではない。

「子ども手当 のようなもの」=子どものいる世帯への直接給付
は、政権交代前からあった。次の2つである。
・扶養控除(16歳未満の子を扶養する人が対象) 約8,000億円
・児童手当 1兆160億円(※ただし、国・地方・事業所の拠出合計)

合計 1兆8,160億円

これを子ども手当に替えて5兆円(初年度は半分)、というのが民主党マニフェストの政策。
3兆円以上増えることになるけれど。

「扶養控除+児童手当」(従来の政策)と違うのは次の点。
・0歳〜中学卒業までに広がった(児童手当は0歳〜小学校卒業まで)
・すべての子どもが対象(親の所得は無関係)
・みんな同額(児童手当はきょうだいの数や三歳未満、などで金額が違う)

シンプルに「すべての子どもに」が体現されている。
対象が広がり、一人の支給額も上がるので、総額が増えるのは当然だ。

「シンプル」のメリット

子ども手当がシンプルなのは、「社会全体で子どもを育てよう」という理念からである。
そして、そのシンプルさによるメリットもある。

(1)手続きにかかる時間・経費が少なくてすむ
従来の扶養控除、児童手当は、どちらも所得によって適用されたりされなかったり金額も違ったり。支給決定、金額確定までの手続きも煩雑。そこに手間暇かけるのは結局お金を余計にかけることになる(子どもへのお金、じゃなくて、手続きのためのお金。児童手当支給のため、窓口の自治体全部で何億円かはかかったらしい)。
子ども手当だって役所の経費はかかるが、親の所得がいくらだ〜〜とか言わない分、費用圧縮になるだろう。

(2)所得による逆転現象が起きず、所得抑制せずにすむ
所得で区切られないので、「これ以上稼ぐと損だから所得を抑えておこう」という後ろ向きの策を親がやらずにすむ(配偶者控除の問題点はまさにここにあるのだけど)。
児童手当は金額が大きくないのと目立たなかったのとで、そんな所得抑制策までやる人はほとんどいなかっただろうが、もしも「児童手当をう〜んと増やす」という政策を所得制限つきでやったら、出てくる可能性大である。そして「所得を抑える」ことができるのは非正規労働・自営が多い。パートやバイトを年末休むとか。非正規で働くのは夫より妻が多い。→→ああ、また女が世帯収入のために自分の収入を抑えるのか。そういうのはもうやんなくていいようにしようよ。

(3)他の政策の目的・対象・方法が明確になる
「子どもへの支援」に所得制限という所得の再配分の要素を持ち込むと、他の政策もこれとの兼ね合いでまた複雑になる。
「年収○○○万円以上は子ども手当が貰えない。○○支援も高所得だからと受けられない。その上累進税率強化なんて冗談じゃないっっ」というわけで所得税率には手をつけられないとかね。
子ども支援は子どものため、所得税率は所得再配分、と。互いに分を守る(妙に入り組んだ仕組みにしない)ほうがどちらもしっかりやれるのではないか。

※上記を考えると、やはり子ども手当の所得制限をしなくて正解だ。鳩山さん、よく考えてくれたと思う。というか、所得制限しようと言い出したのが変だ。

しかし、怪我の功名というのか、所得制限つけろつけない問題が出てきたおかげで、子ども手当の意義・主旨をあらためて意識することになったのは良かったかな。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.12.20

子ども手当と扶養控除(追記・訂正あり)

「そもそも子ども手当は必要ない」という人がいる。ただのバラマキだ、と。
私はそういう人にお聞きしたい。

では、現行の扶養控除(中学生以下の子どもの扶養控除)も必要ないとお考えですか?

扶養控除は子どもを扶養している人の所得税を減税するもの。
これも、個人(世帯)にお金を渡しているのと同じ。バラマキだといえばバラマキだ。
昔からあるものだし、選挙公約として注目されたことがないのでほとんど目立たないが、

「子ども手当なんてバラマキはやめろ」という人が
「扶養控除なんてバラマキはやめろ」と主張するのを見たことがないので
不思議だなあと思う。

金額的に子ども手当より少ないから扶養控除はあっても構わない、のか?
(バラマキ批判なら金額の大小の問題ではないはずだけど)

それと、次のような主張にも疑問を感じる。
「子ども手当に賛成だが、扶養控除廃止で財源を出すのは反対」

つまり、子ども手当も扶養控除もどっちもやれ、と。

共産党の政策がこれに近い。

 フランスやドイツなどヨーロッパ諸国では、子育て世帯に非常に手厚い手当が給付されており、経済的な心配なしに子育てすることができます。
 将来的にそうした水準をめざしつつ、当面、第1子・第2子の児童手当を小学6年生まで月額1万円に増額するとともに、18歳までの支給年齢の引上げをめざします。その際、扶養控除、配偶者控除の廃止などのいわゆるサラリーマン増税との「抱き合わせ」での手当増額はおこないません。
(日本共産党 「2009年総選挙〈各分野政策〉子ども・子育て」より)

扶養控除は高所得者ほど減税額が大きい。扶養控除を維持しつつ子ども(児童)手当を出すということは、高所得者ほどプラスが大きいということだ。

「金持ち優遇」を批判する党の主張がこれでいいんですかね?
共産党の児童手当(案)には所得制限があるのかな? 自公政権の児童手当と同じ860万円かな?
仮に手当に所得制限をつけたとしても、「所得が高いほうが減税額が大きい」という扶養控除の構造は変わらないので、
「年収200万の人より800万の人のほうが『手当+控除による減税』が多い」
「年収1,000万の人より5,000万の人のほうが『控除による減税』が多い」
という「逆進性」「高所得者のほうが支援額が大きくなる不公平性」はしっかりあるんだけど。
金持ち優遇を批判し、低所得者を支援すべきと主張する党がこういう逆進性「高所得者のほうが支援額が大きくなる不公平性」無視というのはどうも納得がいかない。

それよりも、民主党の「子ども手当を出し、該当する年齢の扶養控除廃止」のほうが逆進性「高所得者のほうが支援額が大きくなる不公平性」がなく、すべての子どもに平等だといえる。
※ただしこれは所得制限をしない子ども手当の場合。所得制限するとまた話がややこしくなる。

   *   *   *
〈12月21日追記・訂正〉
「逆進性」という言葉を使ったのは間違いでした。ゆうくんパパさんよりご指摘いただきました。ありがとうございました。
私が問題にしたのは「所得に対する比率」ではなく、「高所得者のほうが支援額が大きくなる不公平性」です。子どもに関する扶養控除は、子どもを育てる負担に対する支援だと言えます。しかるに、高所得者のほうにより多く支援額が行っている。所得の高低にかかわらず子育ての負担があるのに、所得の高いほうに多額の支援をするのは不公平ではないか、ということです。
ゆうくんパパさんのコメントから使わせていただくと、
・年収500万円の人には3万8000円
・年収5億円の人には15万2000円
同じ「子ども一人を育てている」場合でもこういう差があるわけです。
〈追記:ここまで〉
   *   *   *

〈おまけ〉
子ども手当を親が子どものために使わず、パチンコ代になるんじゃないかといった批判がある。
配偶者控除や扶養控除に同じことを言う人は寡聞にして知らない。
「配偶者控除を奥さんのために使え。亭主のパチンコや飲み代にするなよ」「配偶者控除は妻バウチャーにしろ」「扶養控除を子どもバウチャーにしろ」…って、誰も言わないなあ。
所得控除は目の前、あるいは預金通帳にはっきりした金額で示されるものじゃないからね。全然意識しないのだろう。「廃止される(らしい)」と言われて初めて意識するっつうか。

控除も手当も同じ「子どもがいるから発生する」ものなのにね。まあ、それで家計にいくらプラスだとか、財源がどれだけ必要かとか、使い道がどうだとか、これだけ広く話題になるのだから(扶養控除や従来の児童手当に一言も言わなかった○○学者やらコンピュータおたくまで含めて)、それはそれで結構なことかもしれない。

| | コメント (9) | トラックバック (0)

2009.12.18

子ども手当--所得制限をする意味はあるか?

民主党がマニフェストに掲げた子ども手当、ここに来て「所得制限をつける」案が浮上している。

どれくらいの制限か?
・児童手当と同水準(年収860万円くらいまで支給)
・年収2,000万円くらいまで支給

具体的にはこの2案かな。

児童手当(860万円未満)は約9割が支給対象。2,000万円までとすれば99%以上が支給対象になるという(朝日新聞によると)。

気になるのは、所得制限をすると、所得捕捉や事務手続きの手間が増えるのではないかということ(所得制限なしで一律なら子どもの年齢だけで対象が決められるんだけど)。
手間が増えれば費用も増える。この費用は市区町村負担?

所得制限する理由が「費用削減のため」であるなら、

手間(=費用)をかけて少ない対象者の額を削減。差し引きしたらかえって出費が増えた

では意味ないよねえ。

単に「鳩山さん(お金持ち)のお孫さんにも手当を出すのか」という気分をおさめるだけ、という結果になってしまう。

※結構ありがちな話だけどね。社長さんが「業務のムダを省くためにコレコレをしろ」と社員に命じたやり方がかえって余計な仕事増やしになっちゃったよ、みたいなの。

実際の手続き事務を行う自治体はどうなんだろうか。所得制限はありがたくなさそうなんだが。
制限額を引き下げれば、「削減できる額>所得制限にかかる手間の費用」になるけれど、あまり下げたら子ども手当の主旨から大きく外れることになる。

私は、所得制限をしないで「一律で予定より支給額を少し下げる」のほうがマシな気がする。
1%を対象外にするより、13,000円の1%(130円)を引いたらどうかい?
10%を対象外にする(児童手当の所得制限並み)より、13,000円の1割引きで。
(端数が出るとそれも面倒なので適当なところで丸めて)
所得を捕捉して対象を分ける手間がないし。

「金持ちの子に手当出すのは気にいらんから」という気分の問題よりも、計算して実質的にプラスのほうがいいではないかなあ。

| | コメント (6) | トラックバック (1)

2009.12.13

子ども手当--地方自治体負担に反対する知事たち

「子ども手当の財源の一部を地方自治体に負担してほしい」
という案に対し、7府県の知事が反対を表明。「強行するならボイコットする」と言ったそうだ。
(神奈川・大阪・群馬・静岡・和歌山・岡山・宮崎の知事)

これは「子ども手当は国が出す、とマニフェストで謳ったはず。自治体にも負担せよというのは約束違反だ」ということかな。
約束を守るべきだというのはまあそうなんだろうが…。

しかし、それでは、その知事さんたちは、従来の児童手当にはどう対応するつもりなんだろう。

「子ども手当」の類は民主党が初めて実施する政策ではない。
自公政権では「児童手当」を出していた。
平成21年度予算で 総額1兆160億円、対象人数は1148万人。0歳〜小学6年生まで。所得制限あり(子ども2人で年収860万円までの世帯)
財源は 国:2692億円、地方自治体:5682億円、事業主拠出金:1786億円

民主・社民・国民新党政権が子ども手当を実施すれば、当然この児童手当は廃止、というか、子ども手当に替えられることになる。
だったら自治体・事業主も同程度の額を負担して良いんじゃないの?

「ボイコットする」って…
つまり、「ウチの県(府)は1円だって出さないぞ」ってこと?
児童手当はどうするの? 政権が代わったんだから「それも負担しないぞ」なの?
じゃあ、政権交代しなかったら出すはずだった児童手当分、出さなくて済んでしまうのかいな。
なんかよくわからない話だなあ。

自公政権の児童手当のときはどうだったんだろう。自治体はみんな賛同してたのかい?
賛同なのかシブシブなのか無理無理なのかはともかく、自治体が負担していたのは事実だよね。
その分を国がまるまる出すことで、自治体はその負担金を他の育児支援策に使えるという目算があったのかもしれないが(保育所が足りないなどの問題はあるし)。
それとも自治体の児童手当負担がなくなって、支出削減できるとホッとしていたのか。

神奈川県の松沢成文知事は

衆院選の民主党マニフェスト(政権公約)を手に「子ども手当に、地方負担を求めると書いてない。発言を撤回していただきたい」と声を張り上げた。
神奈川新聞社:カナロコ ローカルニュース より)

と言うのであるが

松沢知事は、普天間の移設問題では

「県外、国外の移設は不可能だと思う」との認識を示し、現行のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設計画を実施すべきだとの考えを表明した。
神奈川新聞社:カナロコ ローカルニュース より)

てなことも言っていたのである。
民主党のマニフェストで「見直す」と書いているものを「見直すべきでない」と。

ふ〜〜ん…

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.10.02

「八ッ場ダムは工事が70%進んでいる」のインチキ

TV報道をなんとなく見ていると

「八ッ場ダムは工事が70%進んでいる」

というのが事実のように感じてしまう。

それじゃあ、もったいないんじゃないか?
そこまで進んでいて「中止」(by前原国交大臣)なんて、あんまりじゃない?

…と思ったら、これが大間違いなのだよね。

ダム工事が70%完了した、という話ではないのよ。
予定の費用(あくまでも予定)のうち、70%使ったらしい、ってだけのこと。
工事が実際にどれだけ進んだかはまた別の話。

工事の進捗率は次のようである。

本体   0%
付替国道 6%
付替県道 2%
付替鉄道 75%
代替地造成 10%
(出典は「八ッ場(やんば)あしたの会」サイト)

あれま。ダム本体、全然できてないじゃん。
道路や鉄道や代替地の整備などもダム建設に伴う事業ではあるけれどね。

予定費用の70%を使いながら、ダム工事は全く進んでいないというのも凄い話で、これはよくあることだが、大型公共事業は当初予算よりどんどん膨れあがってしまうのだ。
上記サイトによれば、八ッ場ダムの工事はそもそも(政権交代に関係なく)大幅に遅れていて、現段階では平成27年度(2015年度)完成予定だが、本当はもっと遅れるだろうとのこと。
建設費用も4600億円ではすまないだろう。

予定の費用の70%を使ったから工事が70%進んだ、なんて、誰がこんなことを言い出したのだろう。
数字のマジック、というのもお粗末なほどのインチキ数字だわな。

※工事が70%進んだと言ったのはこの人かな? ↓(魚拓)
(言い出しっぺかどうかは未確認)

NIKKEI NET(日経ネット)

石原知事は「7割もできているプロジェクトをやめる意味合いが感覚的に理解できない」と述べ、建設中止に改めて疑問を示した。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.09.13

配偶者控除とはどんなものか--論文紹介

配偶者控除について、よくまとまった論文があるので紹介します。

租税資料館賞 第17回入賞作品(「租税資料館」サイト)

北村 美由姫 「配偶者控除についての一考察」−人的控除の再構築に向けて−
(文京学院大学大学院 院生)
※論文はPDF(1.28MB)

同論文の紹介より引用

 そのような状態を前提とすると、配偶者控除には、次のような問題点がある。まず、「妻の座確保」のためという存在意義が希薄化してくる。また、少 しでも多くの生活費を得るために働かざるをえない低所得階層は103万円の制限を超えて配偶者控除の適用を受けることが制限され、配偶者控除は所得再配分 の機能を果たせず、高所得者階層を優遇する結果になっていること、女性の社会進出が妨げられていること、などの問題があることである。

 そこで、今後の人的控除の在り方として、配偶者控除、扶養控除を廃止し(統計によると、高所得階層の方が扶養控除の適用割合が高いことを示している。)、扶養控除に代わる代替案(児童手当)で対応し、基礎控除に集約させるとする。

さらに、筆者は「移転的基礎控除」制度を提案する。

また、この基礎控除も、扶養家族間全員になっていること、かつ、控除しきれなかった基礎控除額を家族の他の構成員に移転適用することを提案している。

配偶者及び同居親族に対し、1人につき基礎控除1回分を適用させる提案である。

この案では、家族の全員に対して基礎控除を適用することになる。収入があろうがなかろうが、また収入の多寡にかかわらずである。

これまで配偶者控除が“便宜的に”代用してきたことを、こうした提案で解決できるのではなかろうか。そして、配偶者控除で生じる弊害(主婦が労働調整してまで自分の収入を抑えてしまうこと。103万円以下のパート主婦世帯は基礎控除分を二重取りしていること)がなく、どのようなライフスタイルにも中立的である。

今後の税制を考えるとき、検討されるべき意見だと思う。

配偶者控除廃止→増税だ〜!ばかりを見るのでなく、落ち着いて考えてみたい。

※ボリュームのある論文なので読むのは大変ですが、過去の経緯の資料も豊富で貴重な内容です。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009.08.22

配偶者控除は低所得層に多いのか?(その3)

■申告納税者の所得階層別・配偶者控除適用率

申告所得税標本調査結果 (国税庁>統計情報)

第10表 扶養人員別表 Excelデータより計算

所得    配偶者控除適用率
70〜100万  2.4%
100〜150万 23.5%
150〜200万 37.3%
200〜250万 44.2%
250〜300万 39.2%
300〜400万 37.2%
400〜500万 33.7%
500〜600万 32.7%
600〜700万 34.8%
700〜800万 35.2%
800〜1000万 36.9%
1000〜1200万 35.8%
1200〜1500万 39.6%
1500〜2000万 35.4%
2000〜3000万 32.8%
3000〜5000万 26.7%
5000万〜   25.1%

============
これも、確かに所得5000万円超は200万〜5000万円までの階層より配偶者控除適用率が低い。
そして、150万円以下より高い。低所得と言える100万円以下は2.4%という低さだ。給与所得者と同じ傾向が見て取れる。

■申告納税者の「所得200万〜250万円」は低所得者か?

前にも書いたが、所得と収入は違うので、1年の給料総額が200万〜250万円というわけではない。

同じデータの「第2表 所得種類別表」から、どんな種類の所得なのかがわかる。

「所得階層200万〜250万」の所得種類内訳と人数

所得種類  人数
営業  239,649 ←いわゆる自営業。お店・事務所・工場等の経営
農業    56,778
利子         548
配当     16,986
不動産  200,191
給与   343,993
総合譲渡   2,643
一時所得 21,706
雑所得 557,174(そのうち公的年金等 522,806)
山林    239
退職    108
分離短期譲渡  580
分離長期譲渡 9,024
株式譲渡 10,101

===============

最も多いのが「年金収入を得た人」である。

年金収入から「所得」を計算する式はこちら(公的年金等の課税関係 国税庁)。

所得200万〜250万というと、年金320万〜380万円くらいになる。
これはかなり高額なほうだ。

※参考:地方公務員の年金平均受給額 278.4万円(年間)
    会社員の年金平均受給額 202.8万円(年間)
    第1号被保険者・満額 約79万円(年間)

現役時代の給与もだいぶ高かったと思われる。その時代も配偶者控除の適用を受けていた人が多いだろう。そして、今も妻に70万円ほどの年金収入があるのであれば、夫婦の収入は400万円前後になる。

300万円以上の年金収入がある人を「低所得者」と見るのは無理があるのではなかろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009.08.21

配偶者控除は低所得層に多いのか?(その2)

ゆうくんパパさんよりコメント

元のデータは国税庁の「平成19年分申告納税者の実態」です。
国税庁のホームページの「統計」のところにあります。
エクセルデータでダウンロードできますから、計算してみてください。

  *  *  *

なお、民間給与所得者についても、最新の平成19年分のデータで、年末調整をしていない年収2500万円超の納税者のデータまで使って比較すると、高額所得者で配偶者控除の適用率が低くなっているのがわかります。
このデータも国税庁ホームページの「統計情報」のところにあります。

そこのページは前から見ています。いくつもデータがあるから、「どのデータの、どの数値」かを示していただきたかったのですが…(それを特定しないと人によって違う計算しちゃう可能性がある)。

それはともかく、私は計算好きなので(笑)計算してみた。

■民間給与所得者の場合

「民間給与の実態調査結果」(国税庁>統計情報)

第17表 給与階級別の諸控除 Excelデータより計算

給与階級    配偶者控除適用率

100〜200万円 3.4%
200〜300万円 9.4%
300〜400万円 17.2%
400〜500万円 27.4%
500〜600万円 37.4%
600〜700万円 46.5%
700〜800万円 54.6%
800〜900万円 57.7%
900〜1000万円 61.5%
1000〜1500万円 65.0%
1500〜2000万円 62.7%

(年末調整していない)
2000万〜2500万円 44.6%
2500万円超 38.1%

============

なるほど、確かに「2000万円超」は「600万〜2000万円」よりは低い。
(600万円以下の層より高いが…)

私は年収1000万〜2000万円の層はもちろん、400万円以上も「低所得」とは思っていないので、この計算から「低所得層に配偶者控除適用率が高い」とは言えないと考える。上の計算から言えるのは

低所得層→配偶者控除適用・低

中所得層→徐々に高くなる

高所得層(1000〜1500万)→最高

超高所得層→中所得層並みに下がる

でしょう。

注:上のデータは平成19年のもの。

「第17表 給与階級別の諸控除」Excelデータの「その1の1」シート 
控除対象配偶者数 ÷ 給与所得者数(納税者)により算出した。

年末調整していない2000万〜2500万円、2500万円超 のデータは、同じページの「第19表 給与階級別年末調整を行わなかった給与所得者数・給与額・税額」Excelデータ「その3」シート
控除対象配偶者数 ÷ 給与所得者数 により算出。

この給与所得者数には独身者も含まれるため、前回エントリのグラフと比べて、特に低所得層の配偶者控除適用率が低く出ている(独身者は低所得層に多い傾向があるから)。

注2:そもそも配偶者控除の廃止は「超高所得層の増税」が目的ではないのだが。「配偶者控除は金持ち優遇だから廃止するんだろう」という捉え方は的を射ていないと思う。

| | コメント (6) | トラックバック (0)